1.《ネタバレ》 水面すれすれを微速に進むカメラと、引画の中に本当に小さく、
でも凛として立っているキーラ・ナイトレイに泣きそうになる。
どのショットにしても、とても厳格で美しい構図とライティングと
天候環境で撮れているという贅沢さに満ち溢れているだろう。
そして役者の顔と彼らが発する台詞、その芝居を、
最も理想的であると思われるフレームで切り取り、
それを繋げることで物語を作り出すという
単純な作業だけで映画を成り立たせている。
最後の背を向けあって座っての
越しのカットバックの素晴らしさよ。
クローネンバーグは会話劇を巧みな役者を集めて、
緊張感あるフレーミングで描くのに長けている。
キーラ・ナイトレイが最後に動く何か乗って泣くだろう
という予測は、もう冒頭から出来るわけだ。
それというのは、隔離からの解放は絶対に描かれるからで、
ただ馬車から自動車へ変わるという時代の移ろいも含め、
すべてを丁寧に描くクローネンバーグに感動した。