7.僕は日本で上演されたレ・ミゼラブルしか観劇したことがなくて、日本公演のライヴ盤CDを聴き倒してたので、オリジナルの歌詞がちょっと新鮮な感じで良かったです。
冒頭からバルジャンの囚人番号がに~よんろくご~さ~ん♪じゃなかったりして、なんだか本場のミュージカルを観劇してる気分に浸れました。
内容的にはほぼ忠実に映像化されていて、ファンには堪らない仕上がりです。
再現できてないのは舞台特有のきな臭い火薬の匂いくらいでしょうか。
ちょっと気になったのは、ストーリーの進行上欠かせない伏線の張り方があっさりしてる点で、指輪の件なんかは見落としそうなくらいさらっと流されてましたね。
あれを見落とすとラストの盛り上がりの理由が意味不明になってしまいそうで心配になりました。
予備知識があることを前提にするなら何の問題もないのかも知れないけど、この劇場版で初めてレ・ミゼラブルを体験する人にとってはちょっと不親切な構成なのかも。
あと、エポニーヌの出番もやや改変されていて、手紙の件が舞台とはちょっと違います。
尺的にも短くあっさり描かれている印象でON MY OWNがいまいち盛り上がらなかったのが残念。
エポニーヌの活躍だけを考えた場合、これは改悪だったとしか言い様がない。
でも、その分だけガヴローシュの出番は増えてるので、その後のジャヴェールとの絡みは来るものがありました。
ジャヴェールやマリウスの苦悩も確りと描かれていて、贖罪や革命といった側面の深みは増していると感じます。
多くの人物が登場する群像劇なので、誰に重点を置くかは悩ましい問題なのかも知れませんね。
トータルで考えるとこの構成もアリだと思うけど、エポニーヌが大好きな僕としてはマリウス、コゼットを交えた三角関係に重点を置いたラブストーリーバージョンの映像化もあったら嬉しいなと思ってしまいました。
上演時間も舞台と比べて少し短くなってるようだけど、限界ギリギリまで泣く泣く削って158分ということなら、DVD化の際にはカットシーンを全部盛り込んだ完全版なんてのも期待したくなる。
まあ、大好きな作品だけに細かな不満はどうしても出てくるけど、ほぼ忠実な舞台の映像化に成功したという点は大いに評価されるべきだと思います。