3.《ネタバレ》 ごめんなさい完全に舐めてました(汗
「侍が現代にタイムスリップする?ああwあるある(半笑い)。侍が「馬より速い鉄の箱があ!」とか「こんな小さい箱に人が入っとる!」とかパニックになるやつね。
そんで現代人にない純粋な価値観で周りの人の閉塞感を変えたり、侍ならでは戦闘技術を使って現代で知り合った人たちの危機を救ったりするんでしょ?」
全然違いましたね。
この映画が描きたいのは「タイムスリッパ―」ではなく、あくまで「侍」でした。
だからタイムスリップ物にありがちなカルチャーギャップネタは控えめ…どころか、周囲の現代人は(主人公が語らぬがゆえに)彼がタイムスリップしてきた本物の侍である事すら最後まで知りません。
大事なのは「侍」が未来に来て、そしてそれがゆえに、自分が置き去りにしてしまった「過去」や「自分が大切に守ろうとしていたもの」がどういう悲惨な結末を迎えたのか、「歴史」として知ってしまったという事。
そしてそれを今更どうにもできない彼が、現代社会ではほとんど無力な「武士」である彼が、果たして何を為せるのか、何を為すべきなのか…煩悶しつつ彼なりの答えを見つけ、最後に実行する姿を描き切る事なのです。
その決意を聞いた時、劇中でただ一人主人公の正体を知る男が涙します。
この場面、僕も目頭が熱くなりました。そしてそれゆえに、その男と主人公がクライマックスで繰り広げる「虚」と「実」がない交ぜになった闘いは熱く、激しく、見る人間の心を揺さぶる名勝負だったと断言できるのです。