6.《ネタバレ》 「退廃の美学」「デカダンスの極致」といった物々しい形容をされているので
身構えて見てみたけど、ドラマの部分がヴィスコンティにしては意外(?)にも
エキサイティングで、素直に楽しむことができた。
精神面でも頭脳面でも傷が多くエキセントリックなマルティン、
巧妙かつ論理的な心理操作で一族を操る冷酷なエッシェンバッハ、
正義感に溢れる反ナチス主義者のヘルベルト、
頭が筋肉で出来ているかのようなマッチョ主義者のコンスタンティン、
野心家だが小心者であるために周りの人物に振り回されるフリードリヒ、
繊細で自己主張ができないナイーブなギュンター。
人物が適切にデフォルメされ、キャラクターが立っている。
ただ、ソフィーに関してはやや疑問が残った。息子や愛人を自分の欲望のために
利用する悪女なのだが、ラスト近くではマルティン幼児期の思い出
の品を見て涙している。
親戚の生死はお構いなしという感じの彼女だが、実の子供への愛情はやはり別なのだろうか?