5.《ネタバレ》 皆殺しをさせたら三千世界を天下統一できるほどの演出家、富野喜幸(由悠季)の最凶にして最高傑作。
ただでさえ無機質かつ狂喜乱舞な世界観が、旧作画から新作画に切り替わった瞬間から加速するというのに、俺が見たブルーレイの輝きはますます凄まじさを印象付ける。
何よりも美しく、何よりも残酷で恐ろしい。
それが「イデオン」だ。
破滅的なキャラデザ、メカニックをあそこまで魅せる監督やスタッフの手腕を、枚数制限無しの劇場版で存分に発揮した本作は、ロボットアニメを始めとするあらゆるジャンルのファン必見の映画だぜ。
最初から最後までカタルシスの全力疾走で、悲しむ余裕すら無い。
「人は理解しあえるのか?」という単純かつ複雑怪奇なテーマすら嬲り去り、ひたすら殺し合う登場人物たち。
首が飛ぶ、腕が飛ぶ、星が飛ぶ、銀河が飛ぶ、そして宇宙が飛ぶ。全てを徹底的に破壊つくす。
それをここまで殺りきったのはこの作品しか無いだろうな。
ヒロンの顔面に風穴空けるだなんて!
他の人間木っ端微塵にしといてヒロイン勢だけ残酷すぎる!
中の赤ん坊は生きてんだぜ?
こんな死に方・・・嬉しいのかよ・・・満足なのかよ・・・俺は・・・嫌だ・・・!
それでもコスモは最後まで戦い続けた。
際限のない戦いを終わらせ、答えを見つけるために。
「こんな甲斐意の無い生き方・・・俺は認めない。たとえそれが、イデの導きであろうともな・・・!」
目の前の理不尽な現実に最後まで立ち向かい、戦った。自分たちで運命を切り開くために。
最後の魂の葬列も、次の「永遠の戦い」への転生でしか無いのであろうか。
生まれ変わってまで人は戦い続ける運命なのか。
それは当事者たちにしか出せない答えだ。
実際に死に物狂いに戦い、生きようとした者たちにしか出せない答えなのだから。