1.冒頭からおそらく映画でしか表現しえない人間の情熱とそのエネルギーのほとばしりを痛切に感じさせる、まさに衝撃的な傑作だ。その色彩感覚と計算され尽くした画面の構成の見事さは、ほとんど前例がないほど鮮烈である。とりわけ悠久の大地の広がるコーリャン畑や、中国の荒々しい風土といった自然描写。その中で展開される生々しい人間ドラマとが一体感を伴って、官能的かつ詩情豊かに描かれていく。コーリャン畑を潰して道路を造る日本軍に相対する抗日中国人といった、苛酷な試練を乗り越え歴史を築き上げていった名も無い人々の、この情熱と闘いのドラマは、言葉よりも映像そのものが雄弁に物語っているところに価値がある。