1. 米にミュージカルあれば、欧にオペレッタありき。十九世紀初頭のヨーロッパ再編を討議せんと開かれた1814年(受験生当時、”祝い夜までウィーン会議”なんて語呂合わせで暗記したっけナァ…)のウィーン会議を背景に展開する何とも洒脱な映画である。各国の思惑が錯綜し紛糾、連夜の舞踏会でお茶を濁すオーMYガッ!な状況にプロイセン代表ハルデンベルクが漏らした一言「会議は踊る、されど進まず…」が本作のタイトルの由来。最大の見所は既にどなたも触れている「ただ一度だけ」のメロディに乗っての長い長い馬車の移動撮影(名手カール・ホフマンによる驚異のワンカット!)だが、個人的には狡知に長けたオーストリア宰相メッテルニヒを絶妙に演じたコンラート・ファイトの名演も推したい。史実のメッテルニヒもかくや、と思わしめる説得力は流石!ウィリー・フリッチュ演じる露皇帝アレクサンドル1世の粋なダンディズムも今時のアクターにはチョット出せまい。ま、こちらは史実の姿と違い過ぎるのが御愛敬だけど。初監督でコノ名作を生んだエリック・シャレルの鮮やかな手並みと可憐な歌姫リリアン・ハーヴェイに敬意を表して…9点。戦前のドイツ映画は秀作揃いですなぁ…!!