3.《ネタバレ》 過大評価だ!・・・と言いたかったのに、何でこんなに面白いの。いやマジで。
個人的にジャン・ルノワールの最高傑作が「ピクニック」で一番好きな映画でもある事は間違いないが、この「ゲームの規則」もすげえ面白い
「大いなる幻影」よりもずっと面白いし、ブルジョワ共の狂騒と没落していく様子を愉快に描いた傑作コメディだ。
第二次大戦開戦前夜、戦争の足音も聞こえずオープンな性と浮かれきった貴族たちの危うさが生々しく描かれる。
社交場での絶えない笑い声、裏舞台で本音を洩らすように辛辣に語り合う人々、ユダヤ人に対する使用人たちの声など皮肉たっぷりの会話も怖い。
大陸を渡った英雄も、この狂騒に包まれた社交場では一人の人間でしかない。
まず、ファースト・シーンで一気に引き込まれる。冒頭の闇夜、熱狂的に騒ぐ民衆がひしめく場面から物語は始まる。
車の衝突音だの、銃の発砲音だの音楽とかマジでうるせえ。
「大いなる幻影」や「十字路の夜」はパンッパンッとリアルな音だったが・・・拳銃の発砲音まで狂騒してやがる。
「大いなる幻影」では静かに泣くように発砲音は小さかった。この映画は、貴族たちの笑い声のように音がデカい。
食事会の場面や、その後のパーティーで起こる騒動、時折現れる人形の不気味さとカオス。
狩りの場面は、とても神秘的で俺が好きな場面の一つだ。貴族たちのスポーツとして、余興として、滅びゆく貴族たちの絶頂が垣間見れる場面でもある。
林にわんさかいるウサギや鳥たちを、木に棒を打ちつける音で林の外へと追い立てていく。まるで祭りの囃子のようにカンカンカンと。
猟銃を持った狩人たちは、獲物が出てくる瞬間をひたすら狙う。
獲物が出た瞬間に一斉射撃。爆音が辺りに響きまくり、次々と獲物は地に倒され堕ちてゆく。本当に撃ち殺しているのだから凄い。
まるで戦争映画みたいだ。
銃声が響く中で情事にふけようとする男女の様子が印象的。
後半のパーティーでの騒動も笑いが止まらない。
浮気をする召使の男女二人、それにブチ切れて拳銃片手に走る森番との追いかけっこ。それを咎められてショボーンと涙まで流して落ち込む姿の可愛さは何なのだろうか。仲直り?する場面は最高に微笑ましい。
で、熊の着ぐるみに入って何してんだよルノワールは(爆)