6.暴力を持ってして問題解決をしようとするのはもちろん良くないとは思うけど常に抑圧されてきた人達が抑圧する側に素直に応じることは皆無だろう。血には血をという流血の歴史は古代から現代に至っても変わることは無いしこれからも続いていく。人間には欲がありそれを減らすことの難しさは自分自身がよく知っている(面白い作品を観たら次はそれよりもっと面白い作品を観ようとして探し回る)。世界中から争い事は絶対無くならない。動物には食を足るという自制心がありよほどの天災以外で絶滅ということは無い。しかし人間は他の動物より自制心が劣り同種族同士で争い絶滅する可能性が高い(同種族ならまだしも他の動物たちを何種類と絶滅に追いやっている)。争いというものが無くならないからこそ人間はいかに「停戦」の時期を永くするかを古きから学び新しい時代の為に考え議論していかなければならないでしょう。もちろんテロリズムには賛同出来ないが切迫した状況下において取る選択肢として仕方が無いのか・・・と少しでも思わせたこの作品は脳髄にグサリとささりました。 【tetsu78】さん 9点(2004-11-22 19:14:49) |
5.ただただ、無意味な戦いを無くしたいという願いから作られている映画だと思う。宗教紛争というものに縁遠い生活を送っている身としては、なぜここまで、という疑問符だらけのストーリーである。男は戦い、女は支えるという古い因習がはびこり、ただ一人、命ほど大切なものは無い、と訴え続けるトレーナーのアイクは枯葉のように葬られていく。悲壮で固い空気でいっぱいだ。そんな中、主人公ダニーが、ボクシングという手段で対戦相手ではなく因習に立ち向かっていく姿は、絶え間なくパンチを送り続けることで何かが変わるはず、という意図があるように思え、胸が締め付けられる。寡黙な彼が言葉を使わずに大きく叫ぶ。戦わなければ、負けることもないが勝つこともないのだ、この空気に囚われた町に穴を開けるのだ、と。身を挺して進みゆくダニーに心を揺さぶられる。気持ちが弱虫になっている時に観ると、この映画に込められた魂の力に吹っ飛ばされそうになる。 【のはら】さん 9点(2004-07-14 23:18:49) |
4.ジム・シェリダンとダニエル・デイ・ルイスのコンビにハズレなし!!エミリー・ワトソンも素晴らしかった。それに脚本のテリー・ジョージはIRAということで二年間刑務所に服役していたらしく、この映画のすべてからアイルランド社会の空気がひしひしと伝わってきます。 【シュンペーター】さん 9点(2004-03-01 06:39:49) |
3.「マイ・レフトフット」「父に祈りを」と同じ監督だったんですね。納得。ダニエル・デイ・ルイスも安心して仕事に集中できたのではないでしょうか。重たい名作ですが、名優二人の逢瀬のシーンは、ラブストーリーのファンにも十分に見ごたえがあるのでは? 地味とばかり言われているようですが、徹底的に役作りをするルイスのボクシングシーン、子どもの視点も絡んでくるストーリー展開、最後のクライマックスなどは、ちゃんとエンタテイメント好きにも満足行くのではないかと。冒頭、シャドウボクシングをしているシーンも、カッコいいし、その孤独な姿が次の展開を暗示していて、秀逸だと思いました。 口当たりのよい映画ばかりでなく、こういう映画も観たほうがいいですね。但し疲れすぎていないときに。 【おばちゃん】さん 9点(2003-12-29 13:35:58) |
2. この映画のDVDはラブストーリーのコーナーに置いてありました。 たしかにその要素はあるだろうが、むしろ北アイルランド問題の現実を描くことに主眼があるように思える。 テロのため刑務所に入った夫を待つ妻たち、IRAによる私刑などわれわれ日本人には考えられない日常がベルファストにはあるのです。 【ぐれーん】さん 9点(2003-12-03 15:29:09) |
1.何百年にも及ぶアイルランド闘争の苦しみは、日本人である私には到底解り得るものではないけれど、絶望の中でも諦め切れない何かを抱きしめ続ける主人公の気持ちだけは、少し解るような気がした。愛する女性を抱きしめたいのに抱きしめられず、そっと彼女のおでこに手を充てることで気持ちをおし殺すシーンでは、主人公の切ないほどの感情が指の隙間からこぼれ落ちるのが見えるようで、不覚にもおいおいと泣いてしまった。「ギャング オブ ニューヨーク」までの数年間、映画に出演しなかった(できなかった?)ダニエル・ディ・ルイス、まさに渾身の演技だったのでしょう。う~んお見事。 【showrio】さん 9点(2003-09-16 21:38:38) |