4.飛行機が一日遅れることになり家に帰った夫と、家出から戻った妻が一緒にお茶漬けを食らう。「夫婦とはお茶漬けの味なんだよ」という名言にはコメントを控えるとして、一緒に台所に入って、出て行くときにはスリッパを脱ぎ散らかすところとか、小津はつくづく目がいいなと思う。
ラスト30分の緊張感はそこらのサスペンス映画どころではない。ラストのお惚気シーンには緊張感こそないが、妻の着物が急に質素になっている所とか、カットが変わって、妻の腕の組み方が上下入れ替わっていて時間経過を感じさせる所とか、全てに心を配る小津映画らしさがよく現れている。そういった細かなディテールへの心配りのおかげで何度見ても何らかの発見がある。そういったところが、なんとなく宮崎アニメに通じてるなと思う。