1.ロバート・ミッチャムのフィリップ・マーローは、原作のイメージからだといささかクタビレ過ぎかも。ただ、だからこそこの、メロウでハードボイルドな世界にぴったり溶け込んでいるんスよね。ディマジオの連続安打記録更新だけを楽しみにしつつ、醜悪な社会の闇(=病み)へと踏み込んでいく探偵マーロー。『三つ数えろ』のボギー以上に、その「諦観」をにじませたミッチャムの存在感に魅せられました。そして、シャーロット・ランプリング! この美しき”ビッチ”な悪女役こそ、彼女のキャリアのなかでも最も輝いたものじゃないでしょうか。どうも忘れ去られた映画のようだけど、1970年代に作られた探偵映画としちゃあ、『チャイナタウン』に優るとも劣らない名作だと、小生信じとります。あのシルベスター・スタローンも、頭の悪そうなツラしてチラッと出演しているしね!