3.《ネタバレ》 この作品、ルシアンを肯定的に描いたということでフランスでは反感を示す批評があったとのことですが、このルシアン・ラコンムの空虚な青春のどこが肯定されているというのでしょうか? その空っぽで愚かな17歳の青春が痛いほど観る者に伝わってくるので、本作は切ない傑作となったのではないかな。 連合軍がノルマンディーに上陸する様な時期にゲシュタポの手先になるなんて、いくら17歳だったとはいえあまりに愚かすぎます。でも始めはレジスタンスに参加しようとして拒否されているのだから、運命というものはあまりに残酷なものです。ルシアン役のピエール・ブレーズはルイ・マルに発見されるまでは本当に木こりをやってた素人なのですが、無表情の内側にルシアンの無教養と無邪気さそして心の闇が見事に表現出来ていて、マルのたぐいまれなる演出力にはため息が出てしまいます。ブレーズは本作出演2年後には自動車事故で亡くなってしまうので、オーロール・クレマンと山奥で戯れる静かなラスト10分がとても悲しくなってしまいます。