15.《ネタバレ》 前知識ほぼなしで見ましたが、お話としては、女子高校生4人の急造バンドが、高校文化祭で、ブルーハーツの「リンダ リンダ」を披露しようと、猛練習したりするという、知っていたらスルーしてしまいがちな内容で、更に、ボーカルは韓国からの留学生という、駄作街道まっしぐらというか、駄作無双というか、そんな感じです。横道にそれますが、ブルーハーツが流行ったとき、私はリアルタイムで高校生でしたが、朴訥な感じがあまり好きにはなれませんでした。しかし今となっては、唱歌として再評価しているところで、日本語がはっきりしていて、思わず口ずさんでしまいます。聴きたくないけど歌いたくなるカテゴリーにおける、ひとつの完成形と言えます。話を元に戻しますが、冒頭に述べたとおり、駄作臭のきついプロットにもかかわらず、こんなに面白い映画を創れてしまうというのは、ちょっとした魔法を見たような感覚です。各シーンにおいて、人と人との関係により生じる「空気」であったり、「間」であったりが、ごくごく自然に再現できてるんですよね。各役者が下手な芝居をせず、役になりきり、キャラクターの魅力を最大限に引き出しています。また、そのシーンが持っている味が出尽くすまで、ギリギリまで引っ張ってから次に繋いでいくので、空回りとか、上滑りとかが全くなく、着実にヒットが重なっていく感じです。出演者とスタッフ間において、そういった作品に対する姿勢や意識が、高いレベルで共有できているのが感じられ、監督の並々ならぬ才能を感じました。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 9点(2024-10-10 18:11:50) |
14.《ネタバレ》 ガールズ・バンドを題材にした邦画としては文句なしの最高峰でしょう。 オープニング、いかにも意識が高い高校生と言った感じのカメラに向かっての主張に、「うん、あったよね、こういう青春の恥って」と思わずうなずいてしまう人が多いんじゃないでしょうか。男女高校生たちのやり取りがまた自然な感じで、とてもリアル。どう見ても田舎の地味な高校に韓国人留学生がいて、その音楽素人の娘がなぜかバンドのヴォーカルになるという不思議なプロットなのに、その留学生がぺ・ドゥナだからそれだけで納得させられちゃうんです。あの“妄想MC”はこの映画で屈指の名シーンでしたが、ラストで突然盛り上がる体育館の観客たちも実はぺ・ドゥナの妄想がなせる業だったのかも(笑)。 香椎由宇は“こんなJK田舎の高校にいるかよ、でもほんとだったらかなり嬉しい…”と妄想させてくれるほどビジュアル的には光って(浮いて?)いました。でもバンドのベースはBase Ball Bearの関根史織だったので、演奏の見た目としてはかなり様になっていました。そしてME-ISM の山崎優子が謎の金髪先輩役で出演していて、弾き語りで歌う場面は圧巻でした。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2017-11-27 23:54:05) |
13.《ネタバレ》 蝉の幼虫が土から出て来た瞬間を目にしてしまったかのような感じでした。恵がソンの人生を一瞬にして180度変えた。素敵な瞬間とその輝き。気まぐれな思いつきと気まぐれな誘いが一人の地味な少女の視界を変えた そして学園生活を素敵なものへと一気に変えたシンデレラストーリー。ここはどうしてもペ・ドゥナ目線でいきたい 例え、唄が上手でなくてもそれでいい お色気なしのボーカルでもそれでもいい 彼女にしてみりゃこの日が学園生活もしくは青春時代における もしくは日本滞在中の全時間において最良でピークの日となっているのかもしれない 自分たちのミスによって減った演奏時間を一気に取り返すべきドブネズミで始まるリンダリンダでは 唄い始めから僅か40秒後にはすでに周りまでをもピークまで持っていく事出来てた とにかく選曲が良かった それは間違いない。とにかくペ・ドゥナ目線でみるとやばく感じる そんな嬉し恥ずかし素敵なシンデレラストーリーだった。 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2015-04-07 23:59:42) (良:2票) |
12.こんなに自分の(遠い昔の)高校時代を思い出したのは久しぶり。 些細な諍い、ものぐさな物言い、好きな男の子からの切りがたい電話、果たせなかった告白、間抜けな「OK?」。 どこを切り取っても普通の、キラキラなんかしていないごく普通の日常だ。 だからこそ、画面から甘酸っぱい汗の匂いさえ漂ってきそうなリアリティがある。 深い意味なんかない出来事を、余計な演出もなく、ただ見えるがままに時間だけを紡いでいく。 そしてその時間を楽しみ、愛おしむ、そんな映画だと思う。 観終わって自然と笑顔になっている自分がいた。 【poppo】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2011-08-08 14:36:49) (良:3票) |
11.《ネタバレ》 『天然コケッコー』の監督、山下敦弘の「女子高生のバンドやろうぜ」的映画。 ボーカルの女の子「空気人形」のぺ・ドゥナが素晴らしかった。彼女はこのとき24歳。でも女子高生になっちゃうのだからすごいね。 ペ・ドゥナの存在が大きなポイントというのは確か。彼女がいなかったら、この映画は、均質でうす~い物語になってしまっただろう。彼女の異質があってこそ、彼女と彼女たちの微妙な対比が面白い。 ペ・ドゥナが誰もいない夜の出店を歩きながら、「フランクフルトいりませんかー」と叫ぶ。薄暗い体育館の中でひとりだけのバンド紹介。アカペラで歌いだす。これこそ彼女のキャラクターである。すごく伝わるものがあった。じんじんときた。単なる「女子高生のバンドやろうぜ」的映画を超えて、彼女のさざめく孤独感、繋がりを求める切な思いと今の充実感がよく伝わってきた。 最後の最後でブルーハーツの「リンダリンダ」と「終わらない歌」がフルコーラスで歌われる。クライマックスとしては最高だ。すべてを忘れて世界と一体化する瞬間があるとすれば、こういう時なのだろう。シンプルなラストがGood。歌詞が身に染む。胸がキュンとなった。とても懐かしかった。 【onomichi】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-05-13 00:30:19) (良:1票) |
10.《ネタバレ》 最後の演奏シーン.ステージ下に集まって跳びはねている集団の後方に,膝を抱えてしげしげとステージを眺める集団がいましたが,あれはリアルだと思いました.同じ高校生であっても,祭りの中心で騒ぐ子もいれば,沸点が低い子や斜に構えている子もいるわけで,「高校生のリアリティ」を十把一絡げの行動で括ってしまうことはできません.そういう当たり前の事を淡々と映像にするスタイルは好感が持てました.「主人公,学園祭で渾身のパフォーマンス→聴衆,総立ちで熱狂.」なんて描写は,いかにも嘘くさい高校生像ですよね.全体としては,色々な意味で中原俊の「櫻の園」に似ているなぁと思いました.ただ,「櫻の園」は少しばかり少女趣味が強くフルーツパフェのような甘ったるさがあったのに対し,本作は甘さ控えめでカキ氷のようなサッパリ感がありました.繰り返し観ても飽きない作品でした. |
9.《ネタバレ》 淡々と話が進むからリアルに感じ、自分の高校時代を思い出した。最後の演奏シーンに誰もいない廊下や教室、ロッカーなどの画を挟むのはうまいと思ったし、泣けた。でも一番良かったのは、練習する4人を隣の部屋から長回しで撮るシーン。なんだか4人の青春をやさしく見守っているような感じで泣けた。 【マサ】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-09-21 22:28:57) |
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8.《ネタバレ》 たまに大げさに騒いだり、その後にぽっかりとその騒いだ分だけ元気がなくなる。高校生の頃って大体そうで、後先なんていちいち考えてない。今が楽しければ、それ以外に理由もいらなかった。仲間と一緒に何かに向かって努力して、結果はどうあれ自分たちが満足するためにひたすらやる。この映画はもしかするとどんな青春映画よりも地味で、でもどんな青春映画よりも自分が感じてきた青春の温度と限りなく近い気がする。意外といつも喋んない奴が突然まじめな事話したり、行き当たりばったりで良い風に転がったり、目が覚めたら時間が過ぎててその事実を認めるまでに意外と時間が掛かったり、結局告れなかったり(で、後で後悔する)。不思議と、地味なことが記憶の中で一番鮮明だったりする。今まで観てきた青春映画の多くは、常に楽しさや興奮するような物を積み重ねてる事が多い。それは観ていて楽しいけど、リアリティはないし、共感もほとんどない。薄暗い見慣れた廊下や遠くから聞こえる練習の音、全然人の来ない展示のクラスや焼きそばの美味しさなんかは、地味だからこそ胸に響いた。意味の無いような台詞や地味すぎて気付かないような台詞が、本当にリアルで、あるある、なんて思いながら笑っていた。この映画は、僕の中でこれ以上のリアルはないような青春が、全てのシーンに欲張りなほど盛り込まれていて、胸が一杯になった。あと、最後、ステージの上に靴下を脱いで、裸足で登場するのは、僕の中での青春の最もエロいと思っていたスタイル。 【ボビー】さん [DVD(邦画)] 9点(2006-09-14 01:52:57) (良:2票) |
7.敬愛する山下監督の作品ということもあり、気合十分で観に言った。最初は、山下監督と女子高生の組み合わせって・・・?という不安もあったが、そんな不安も消し飛ぶ傑作。学校の持つ倦怠感や閉塞感がリアルに描かれていた。学校のほこりや汗臭さまで感じられた。やはり、ご多分にもれず、見終わった後はブルーハーツ熱唱してしまいました。 【くらけん】さん [映画館(邦画)] 9点(2006-04-30 13:51:26) |
6.《ネタバレ》 私くらいの世代(こんな言葉を使う年になってしまったな・・・・・)にはたまらない青春映画ですね。もう、「ブルーハーツ」・「高校の文化祭」といったら、80年代後半、音楽好きの高校生だった人間にとってはまさに涙ものの設定です!まあ、彼らの曲の中で一番好きな「終わらない歌」が流れてきた時にはつい一緒に口ずさんでしまいました。最初はボーカルが韓国の留学生という設定を聞いて、正直「ちょっとどうなんだ?」と違和感を感じたんですけど、見終わったら180度変わりました。いやあ、ロックです、私は好きです。見終わった後、つい「僕パンクロックが好きだ~♪」と口ずさみたくなるような作品でした。 【TM】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2006-04-16 22:04:55) (良:1票) |
5.すごいです。よく出来てます。最初はブルーハーツだし、女子高生だし、よくある青春もの?と高をくくってたのですけど。セリフの言葉の選び方も間や空気感も映像の撮り方もいちいち嫌味なくらいセンスのよさを感じました。所々ではさまるショボい笑いもよかったです。年を取ってからわかる日常の何気ないことのよさがたくさん描かれていて、実は女子高生と見せかけて年寄りのための映画にうれしくなりました。 |
4.素晴らしい。この人(監督)の映画を観るのは初めてだけれど、なんて奥ゆきのある映像、そして映画を紡ぎ出す監督だろうか。校舎の間から見える青空、誰もいない靴箱、何気ない学校の風景に、無限の広がりと感情を感じた。 その映画世界に息づく文字通り等身大の少女たち。決して「言い過ぎない」彼女たちの言動は、だからこそ素晴らしい“若さ”をリアルに表現している。 彼女たちは、「言葉」だけでコミュニケーションをしない。良くも悪くも、自らのあらゆる「感受性」をもって繋がっていくのだ。 この映画は、そういうことをさらりと、気持ち良く伝えてくれる。 【鉄腕麗人】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-03-28 01:59:33) (良:1票) |
【NIN】さん [DVD(邦画)] 9点(2006-02-24 16:44:53) |
2.《ネタバレ》 前田亜季が本当にドラム叩いてるとして9点、違ったみたいなので減点。高校の文化祭前、最中の雰囲気を見事に表してる、それだけで評価の対象です。おれ共学じゃなかったから、いまいちわかんねえとこもあるけどね。ただ、香椎由宇って顔のイメージ強すぎねぇか?じつはそれがマイナス1点なんだけど… 生の湯川潮音見れてよかった、風来坊とはね。その前に歌ってた漫画喫茶の子、男だと思ってた、この子はとてもよいです。こっそりりりィも出てるし。この使いかたって、TBS「青い鳥」でトヨエツの母親やったときみたいでとても気持ちよかった。ところで、甲本雅裕ってヒロトの弟だったの?↓↓↓ なんかとっても腑に落ちた、ありがとう。 〈追記 2006.7.30〉そうか、The Water Is Wideを唄うのは実体験を基にしたエピソードだったのか、本日ETVのTRで知った。ということで、再度1点加点。 【shintax】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-09-13 21:33:12) |
1.まさに青春ど真ん中って感じの映画である。高校の文化祭特有のあの雰囲気がとてもよく出てて良かった。放送部(?)の学生達が文化祭の様子をビデオカメラに撮ってるとことかなんていかにもな感じだし、全編を通して客観的な視点で撮られた画が多く、まるで自分も文化祭に参加しているかのような気にさせられた。 また、登場人物それぞれに見せ場があって、脚本もよく練られている為、主人公達にも感情移入し易かった。特にペ・ドゥナの自然体の演技はとても良く、彼女が男に告白されるシーンは最高に良かった。しかし、あとで彼女のプロフィールを知って驚いたのは自分より年上だったこと。完全に女子高生にしか見えませんでした・・・。 それから、ラストの演奏シーンは本当に見事でした。雨が全てを洗い流すかの如く急速に閉塞していく感じが切なくて、思わず涙が出そうになった。 【きのすけ】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-08-17 20:48:04) |