1.《ネタバレ》 グルジアの巨匠オタール・イオセリアーニの脅威のデビュー作!…はっきり言ってこれは傑作だと思います。俳優の台詞を一切排除し、字幕もオープニングのタイトルとクレジットだけに抑えた、まさにムルナウの「最後の人」をそのまま地で行ったような作品。“音と映像が一体になってこそ、そこに初めて映画が生まれる”という監督の信条通り、サイレントのような静謐さとトーキーにある力強さを合わせ持っています。後半、主人公二人が移り込んだ無機質なアパートに次々と持ち込まれる家具類の数々、物質主義の批判とも取れるこれらの品々を見ていると、まるで無声映画に割り込んできた音声<トーキー>のようにも思えます。そして驚くべきことにこの無駄な家具が増えていくに連れて、何と主人公たちも無駄な言葉を発するようになる!モンタージュやスローモーションなど古典的な技法を用いつつ、撮影法も一見シンプルに見えて実はかなり工夫されているように感じました。実際かなり実験的な作品ではありますが、恐ろしく完成度が高く、もしかしたら彼(イオセリアーニ)の最高傑作かもしれません。兎に角僕のつまらないレビューなんかよりも早く本編を観て下さいというのが正直な本音です。