7.《ネタバレ》 ヴァーホーベン監督の良い持ち味は、なんといっても「エグさ」と
「いい意味での常に客観的な視線」にあると思います。
戦争やユダヤ迫害を描いた映画はたいてい、よく言えば「感動」「生きることの素晴らしさとそれを奪われる理不尽な悲しさ」を描いたものが多く、でも、ぶっちゃけ「主観的すぎ」「子供とかだしてこられたら、そりゃ誰でも泣くわい!!」「テンポ悪い」等の感想を抱きがちでもあります。(日本の8月前後にわんさか放映される戦争ドラマがいい見本でしょう)
この「ブラックブック」に関して言えば、とにかくものすごいテンポがいいです。
大変残酷なことが次から次へと起こるにも関らず、感傷的なシーンはほとんど
ありません。その代わり、エロシーン・脱ぎまくりシーンは多いです(笑)そして、ユダヤ人・オランダ人(レジスタンス)・ナチス・英米軍、、
どの立場に対しても、必要以上に偏って味方をしている映画ではありません。というかみんなそれぞれ、嫌~~なやつと普通の人が混じってる。
この「公平さ」って単純にすごいなぁ~~と思いました。
「どこにだってワルはいるんだぜ。ナチスだけ、
戦争そのものだけ憎んでも戦争はなくならない。人間の中の悪がなくならない限り・・」というメッセージが明確にわかりやすく伝わってきます。
そして、ヴァーホーベン監督はこの映画でも、女性に対して、いつもの通り(笑)
脱ぎ散らかしまくり、下世話なシーンいれまくり、なのですが、
なぜかいつも、「この人ってもしかして、本当はフェミニストなんじゃないのかな」と
思わせてくれます。だって、監督の映画にでてくる女性は本当に、いつも、たくましく、強く、ずる賢く、本当の物事を見定める鋭い眼を持っていたりします。
エグイシーンのせいで、女性や良識ある男性からは
嫌煙されがちな映画かもしれませんが、生きることの本質的なものを本当にリアルに
描いていると思います。下の毛を染めているシーンに拍手です。染めなくても
手入れはみんなああいう風にしてるんだい!!