1.《ネタバレ》 戦後の動静を一人の少年から見つめた、青春映画の珠玉の一篇。
海外でも寺山修司と共同監督した「初恋・地獄篇」で知られる羽仁進。
出演者は全員素人で、ドキュメンタリーの形を成したフィクション。
フィクションとはいえ、一人の少年が“不良”として少年院に入れられ出所するまでの時間は今この場で起きているようなリアリティに溢れる。
リアリティがあるが、少年への感情の移入は無い。
あくまでドキュメンタリーとして淡々に少年を追うのだ。
けれども、時間が経るにつれて優しく精気を取り戻していく少年の顔。恐喝や“可愛がり”、人々との触れ合いをを通じて変わる者、変わらずに再び犯罪の世界の行ってしまうもの。
少年院は彼らの通過点でしかない。
この物語は、そんな通過点で心が変化していく人間を丁寧に描いた作品のようだ。