2.この映画のマックス・フォン・シドーは、騎士道精神にあふれたかっちょいい紳士、ってことになってるんだが、今見返すと、ただのサッカーおたくにしかみえない。「戦争よりサッカーで勝負すべきだ」とか、今時小学生でも言わないことを真顔で言ってるし、「ねぇねぇ、僕らと試合しよーよー」なんて駄々こねたあげく、えらい騒ぎになっちゃうあたり、大人なんだからもっとしっかりしなさいよ、つう感じだ。一方の大人たちは「脱走は兵士の義務だ」とリチャード・アッテンボローが言ってたことを繰り返し、2代目クーラー・キング、スタローンは「サッカー下手なアメ公はどっか行け」とコケにされまくり。
ラストの感動的なフランス市民のフェンス越えも、愛国心とか反権力とかそーゆーんじゃなくて、ほとんど甲子園の阪神ファンみたいなもんじゃん。
要するに、戦争やら国家やら権力やら愛国心やらは、ナチスだろうと連合国だろうと同じようなもんで、人殺すくらいなら、おいら子供に戻ってサッカーしてるもん、っていう開き直りが実にアナーキーで素晴らしい。ま、マイケル・ケインやフォン・シドーが元名サッカー選手という、岩下志麻がセーラー服を着るのと同じくらい無理があるキャスティングをした監督が一番アナーキーといえばアナーキーだ。でも、ジョン・ヒューストンはホントに演出したのか?