1.《ネタバレ》 ■15年前の誘拐殺人事件が時効を迎える。そして時を同じくして、嘲笑うかのように同じ手口の誘拐事件が発生する。当時の担当刑事は今度こそ犯人を捕まえるべく奔走するが・・・ 巧妙なミスリード、そして韓国映画らしい展開と重苦しい中身、すっきりとはしないラストの良サスペンス。
■小説ではよくあるタイプの「時系列をずらして、同時と見せかけて違う時間帯に起きたことを見せる」という手法が巧妙に使われている。二度目の誘拐犯は何となく予想がついたが、その動機は・・・そうか、そういうことか・・・
しかしこれだったら1回目と2回目の事件が似ている必要性はないんじゃないのかなぁとか思ってしまう。偽犯人が捕まるところも、そんなにうまくやれるのか、とか思ってしまうし。
■ラストは、「真犯人」が罰せられてひとまず勧善懲悪、という感じに見えるが、彼も病気の娘を救うための苦渋の行動だし、そして娘に幸せな生活を与えつつ自分は山の中で15年隠遁生活を送ってきており、かなり苦しんできていると思う。子供の死も意図的ではないし、一概に悪とは言い切れない。むしろ「悪を裁く正義」に酔っている主人公にこそ、もっとも危ない「悪魔」を見ることができるかもしれない。このあたり、韓国のオリジナルタイトルが「MONTAGE」と犯人当ての要素を押し出しており、ゆえにラストも「勧善懲悪」として見られていそうなのに対し、邦題が「悪魔は誰だ」と勧善懲悪の解釈を拒むようなものになっているのは対照的に見える。