7.《ネタバレ》 やられました。この作品は秀逸ですね。
少女の物語は他人から見れば、さほど複雑ではありません。転校により過去から
新しい環境に移り住む過程を描いただけの物語ですが、子供の頃の微妙な心理を
1本の映画にしエンターテイメントにしてしまう発想と手腕に脱帽です。
脚本の好みで言えば、ヨロコビとカナシミが司令部に戻る旅の序盤が
戻れそうで戻れない所が少々じれったいのですが、その感情たちの別世界の冒険が
実際の少女の微妙な感情と成長と言う全く異なる世界を、互いに邪魔する事無く
自然とシンクロさせて居る所が見事です。少女の方が感情の存在を意識しすぎたり
感情側が少女を動かしすぎてもこの話が架空の物語になり興醒めしてしまった事でしょうから。
子供の頃のキラキラした心や、思い出がいつの間にか消えて居たり思い出せなく
なっていく過程が悲しくも成長である事を感じさせる。素晴らしいですね。
人の頭の中を映像化するというアイデアが出たとしても人の心や記憶の仕組みは
複雑で簡単では無いだろう。それを見事に具現化しただけでなく、
子供から大人まで楽しめるようコミカルで夢のある世界で描ききる
制作者達の力に関心させられるばかりです。時間も長くなりすぎず良いですね。