1.《ネタバレ》 高評価の方には申し訳ないのですが、あくまで僕個人の評価と言うことで・・・宮崎・高畑両人の左翼的理想主義が相当ストレートに表れているように見えました。その点が邪魔をしてどうしても「ファンタジー」として作品世界に入り込むことが出来ず、いまいち楽しめませんでした・・・ただアニメとしての完成度はとても高いと思います。<追記>上に「宮崎・高畑両人の」と書きましたが、よく考えたら脚本家は別の方だし、宮崎氏に至ってはこの作品に関してはあくまで裏方の一人なんですね・・・個人的に左翼的理想主義を色濃く感じるのは事実なのですが、上のお二人との関連を特に重く見るのは間違いかもしれません。
<2013.10.18追追記、点数を6点から9点に変更しました>
『かぐや姫の物語』が公開されるのを機に、復習のつもりで見直してみたのですが・・・本当に今さらですが、そのアニメーション表現の凄さといったものを、素人ながらに実感できたような気がします。話の内容どうこう以前の問題として、今回見返してみて、その表現一つ一つにこもる「動き」や「生命力」に、大げさかもしれませんが衝撃を受けました。
お話と言うか、物語の展開のさせ方の方はスタッフたちの若さゆえか(あるいは有名な話である逼迫した制作状況もあってか)、荒削りと見える部分も見受けられますが、この作品の場合その荒々しさや若さが一方でこのようなアニメ表現の勢いを与えているとも思います。
またこの作品において、既に「団結した集団への志向」と「自立的判断ができる個人」の融和(あるいはそれらの矛盾をはらんだ混在)、「善とも悪とも判断できない複雑な人物の造形」といった、高畑勲監督の手法の片鱗が見えていることもとても興味深いと思います。