2.《ネタバレ》 今回の鑑賞については、前作にある程度の思い入れがある事、スピルバーグ監督が好きな事、
その二点から必ず観ようとは意識していた。
当然、リメイク作品については鑑賞前の不安が付いて回る訳だが、スピルバーグ監督流の解釈には
期待しかない。
さて、鑑賞。
冒頭の笛の音、前作に向けてのリスペクトを一瞬で感じ取る事が出来る素晴らしい立ち上がり。
前作でのダイナミックなカメラワークに加え、今回は更に積極的な移動撮影と俯瞰を伴う演出とか、
空の青さや、鮮やかな衣装の色など、印象的なカラーリングが施されていたりとか、
あくまでベースを大事にしながらも嬉しい仕掛けが盛りだくさんとなっている。
ストーリーや、曲順等は適宜改変されており、ここは受け入れ側の好き嫌いはあると思うが、滞りなく進行する。
音楽に大きなアレンジなどは加えず、元の音源から忠実に、ただクォリティだけは抜群に高めてコピーした感じ。
「アメリカ」のシーンは前作の夜から、今作は明るい早朝に変更、躍動感とスケール感の溢れる展開に
思わず涙が出てきてしまった。
物語に関しては、相変わらず愚かな若者達が狭義での正義を貫き通す為に、悲劇に向かっていく
お馴染みのロミオとジュリエットストーリー。
でも何だか今観ると、トランプ前大統領のメキシコ国境封鎖や人種差別発言、中国の新疆ウイグル自治区問題、
そしてウクライナの情勢等と、事の大小はあれど被って見えてしまう。
何故この作品が今この時期にリメイクされているのか、大いに合点する。
あと、前作のロバートワイズ監督とスピルバーグ監督の何というか、職人気質、或いは(良い意味で)節操無く
「何でも作ってやらぁ」的な仕事振りにも共通点を感じてしまった。
リタ・モレノさんのあの役柄での登場は、矢張り嬉しいサプライズ。
前作へのリスペクトと、現在への警鐘を鳴らすという見事な作品であった。
(追加)パンフレット、「パンフレット」としてみると価格が高い。しかし、一冊の資料本として考えれば価値も高い。