16.《ネタバレ》 ○午前十時の映画祭にて鑑賞。○小津監督の遺作にして、得意としてきたテーマで傑作ともいえる作品だった。○演者の撮り方にしても、間の撮り方にしても絶妙。各演者の登場するバランス等も素晴らしかった。○周平と川合が堀江を死んだと冗談を言うシーンがいい伏線になっており、好きな男性には女性がおり、縁談もうまくいかないのかとがっかりさせて堀江が周平に仕返しをするところが良い。○にしても当時20歳過ぎの岩下志麻の艶美さ。親に対するぶっきらぼうさと目や表情の色っぽさがアンバランスで良い。 【TOSHI】さん [映画館(邦画)] 9点(2016-02-22 22:55:07) |
15.小津作品によくあるパターンですが、チョイと不自然なセリフに実年齢的にチョイと無理筋な東野・杉村の父・娘。違和感が無いわけじゃないですが、人の価値観は変れど今も変らぬ人間の素顔を醸し出す登場人物に引き込まれます。繰り返される限定的な場面とアクションの無い抑性された演技、これだけで彼らの思いに共感できる映画ができることに驚嘆します。ほぼ全編セットによる撮影の中、昭和30年代の池上線の映像も印象的でした。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2016-02-01 23:22:16) |
14.人生って秋刀魚の味だと言う事なんでしょうね。生まれる前の映画だとは思えないほど映像も綺麗でした。しみじみとした人生の悲哀を描いた傑作だと思います。 【東京ロッキー】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2012-06-11 13:45:00) |
13.《ネタバレ》 名作であることを皆が口々に言うので、とてもワクワクして鑑賞しました。上品な奥行き、言葉にしがたい空気感。何とも言えないフィルムの先の方で何かがジンワリと発生しているような丁寧さ。そして出演者が途轍もなく美しい演技をしているように感じました。正直な所、この作品を観た直後は「もう邦画は観るのは辞めよう」と感じてしまいました。 【成田とうこ】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2007-09-28 21:16:30) |
12.《ネタバレ》 見終わったあとで小津の遺作と気付く。久しぶりに小津作品見たけどやっぱり素晴らしいね。テーマはいつもの娘の結婚を描いたものだけど何故か凄い面白い。どのシーンとってみても絵になってて実に鮮やか。テーブルの上や背景の小物一つ一つに目が行きます。いつものメンバーの演技も流石。個人的には清純な岩下志麻よりもツンツンしてる岡田茉莉子がたまらない。 【バカ王子】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2006-05-31 23:31:28) |
11.《ネタバレ》 東京物語(1953年)以降の彼の作品については正直安定感はあれども新鮮味に欠ける、過去の作品の焼き直しでしかないくらいの感想でしかなかったが遺作となったこれは別。小津にとっての「スターティング・オーヴァー(J・レノン)」ではないか、この作品で新たなテーマに取り組み示そうとしていた、というのが個人的な私の感想です。同居していた母親を撮影前に亡くし一人になった事で「老いる事の寂しさ」からもう一歩踏み出した、「老人への嫌悪感」を初めて表したのではないかと。「老いる事の寂しさ」は年をとれば誰にでも起こりうる出来事であり、沸きあがる感情で至極当然の事。だが親しい者から「年をとる=嫌らしい」と思われる事についてはまったく想像もつかない事実であり主人公達の心に暗澹たる思いが残ったのではないでしょうか。娘を嫁にやり父親としての勤めは果たしたものの、それでも人生はまだ続く。「お葬式ですか」「まぁ、そんなもんだよ」奥の深いやり取りです。もう少し小津が生きてくれていたら邦画ファンにどんな指標を示してくれてたでしょうか。そして彼自身が評した「一番バッター=岡田茉利子、四番=杉村春子」(「絢爛たる影絵 小津安二郎」高橋 治著より)に加えてこの作品ではたぶん六番くらいの打順にいただろう岩下志麻(美しい、ほんとに)をどこまで格上げすることが出来ただろうか…残念だ。 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 9点(2006-05-14 22:39:56) |
10.この作品に詰まっているのは、戦後敗戦国日本での紳士の在り方とか、父としての在り方、友人関係の在り方の美学だと思う。実は通り過ぎてみれば戦争なんてどこか遠くに感じてしまうものなんやろうな。そりゃそうか。何故か分からん内に信じてきたものが崩れ去って、何故か分からんけど数年後には普通に暮らせてるんだから。この時代にこの作品見た人は何を思ったんやろう。映画の中の温かさや考え方が色んな人に影響を与えたんやろうな。心打たれて高度成長期乗り越えた(かな?)。ありふれた日常の一面にある人生のほろ苦さを通じて本当の幸せに気づくこの作品は、まさに秋刀魚の味。小津作品の中で初めて見た作品。当初は低い固定アングルにも、力みがなくてリズム感あるセリフの数々にも驚いたな。笠智衆って良い俳優やなぁ。あの背中からブワーっと出てる哀愁はやばかった。あと、岩下志麻がすごく綺麗だった!すごく都会的で洗練されてるのが伝わってくるし。 【ハッシーふりかけ】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2006-04-19 02:02:35) |
9.画すべてが完全に安定した構図。全編が質の高い写真の並みの画なので見ていて飽きない。このスタイルを作り出した小津安二郎はすごい。そして、あのカワイイ人は誰だと思ったら岩下志摩でビックリ。 |
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8.こんなにも雰囲気に魅了されたのは久しぶり。出だしの工場の煙突群は、煙なしでは絵なのではと錯覚させられ、繰り返しが多く一見無意味に見える会話は断じて必要でありそこにいる人となりを感じさせてくれるし、引いたアングルによる室内はその場の空気をも共有させてくれる。そして、あれよあれよとのめり込む自分に気付く。登場人物にも無駄がない。肩肘張らずに存在を示してるのは流石!素朴ながらも眩く光るなんとも言えず好きな会話群の中でも、ぼくはこれを推したい!父が式後に寄ったバーでの岸田今日子とのやりとり。「お葬式ですか?」「まぁ・・・そんなもんだよ。」この他愛のない返事に万感の思いを感じるんだなぁ。。 【れこば】さん 9点(2005-01-28 21:40:21) |
7.小津が死の前年に撮った遺作であり、すべてが磨き込まれた小津芸術の完成形。でありながら、娯楽作品としても一級品。カラー映像が本当に美しく、どのシーンも味わい深い。ムダなものは何ひとつない映画。映画監督は普通、キャリアの初期や中期に最盛期があって、その後下り坂になるイメージがあるが、小津は老いるほどに高みへ上っていった監督ではないだろうか。この作品は役者陣にも見所が多く、特に後の“水戸黄門”東野英治郎が主役を奪うかのような存在感を見せる。出世したかつての教え子たちに対し、卑屈さすれすれの態度で接する落ちぶれた元教師であり、娘を嫁にやれなかったダメな父親。これで泣けてしまうのが大人の男というもの。他にも、しっかりした面と初々しさの両面を見せる若き日の岩下志麻の美しさ、当時から年齢不詳な(?)岸田今日子、当たり前だが中井貴一そっくりの佐田啓二、と今では演技以外の別の面からも楽しめる豪華キャスト。ホームドラマのひと言では到底片付けられない、「ジャパニーズ家庭エンターテインメント」とでも言うべき作品。 【眠い悪魔】さん 9点(2004-01-27 11:57:37) |
6.《ネタバレ》 これは面白い! なんちゅう面白さ。評論家達はこんな面白い映画に「名作」というレッテル貼って、近付き難くしちゃうなんて、逆にもったいないではないか。何が面白いって、「燕来軒」の看板の文字! ハハハ、こんな小道具からしてすでに面白い。しかし何と言っても忘れ難きは、笠智衆の溜息「ん~」であります。勿論、「いやあ~」でも「まあ~」でもいいのですが、やっぱり「ん~」がサイコーです。それも、苦悩から発せられる「ん~」よりも、笠智衆の満足感が頂点に達した瞬間に思わず漏れる「ん~」がたまりません(白眉は娘の花嫁姿を観た時の会心の「ん~」である。聞き逃すな!)。さらにこの映画では、動きの無い笠智衆とは対照的に、過剰に動き語るひょうたん先生(演ずるは東野黄門様!神ワザのような演技である)の存在がユニーク。この対比により、笠智衆の動かない演技がさらに光るというものでありましょう。さらには亡き妻に似ているというTORYS BARのママとして、岸田キョンキョンが登場。笠智衆と岸キョンの夫婦では「美女と野獣・逆バージョン」ってな感じだが、幸いにもそんなに亡妻にクリソツな訳ではないらしい(雰囲気が似てるというのは結構いいものである)。さてさて、娘を嫁に出すまでの父の心の動きがこの映画のテーマですが、娘を嫁に出してやれなかったひょうたん先生の存在が、主人公に大きな影響を与えております。友人河合からも「おまえがひょうたんみたいになったら困るからな」なんてプレッシャーかけられたりして。で、なんやかんや紆余曲折あって(途中の展開と人物配置がうまく、観てて心地いい)、結局無事に娘を嫁に出す事に。河合も「おまえひょうたんにならなくてよかったよ」等と言ってくれる。しか~し。友人と別れた主人公は、一人酒を飲み、泥酔して家に帰ってくる。暗がりで「ひとりぼっちか」と呟き、歌を口ずさむ姿。そう、その姿は、まさにひょうたん先生の姿そのものではなかったか? 娘を嫁に出しても出さなくても結局は味わわねばならぬ孤独。そういう無常感のようなものが浮き彫りにされて余韻を残します。ところでタイトルは秋刀魚の味ですが、これは内容に直接関係なく、そのかわり色んな食べ物が出てきます。魚料理で出てくるのはハモですね。ハムではありません(!) 【鱗歌】さん 9点(2003-12-28 00:28:44) (良:3票)(笑:1票) |
5.本当に小津映画というのは不思議な魅力に満ちている。加東大介が軍隊時代を思い出して店の中を歩き回るシーンがとても印象的でした。 【ロイ・ニアリー】さん 9点(2003-12-12 12:30:14) |
4.優しくて、厳しい。思いやりは世界共通の言語さ。この、一見すると古臭い日本映画は、時と共に風化するどころか、驚くほどのみずみずしさを増していく。 |
3.小津映画って全然イヤミっぽくないんだよなー、本作も淡々としているがなんだか観た後充実した気分にさせてくれるそんな映画だ。人生の本質がそこにあるような気がする。 【たましろ】さん 9点(2003-10-13 20:31:16) |
2.トリスバーで笑いあい、敬礼しあう3人を見るたびに、人間って悲しいけどいいもんだね、映画っていいなァと思う。 【るーす】さん 9点(2003-06-04 21:58:03) |
1.昨年は小津の生誕100年だったというのに水をさすようでなんですが、この作品が遺作なのは、ちと淋しすぎやしないか? 何度も観ているからこそ思うのだが、多くの人が指摘するように、やはり晩年の諸作には作家としての広がりがちょっと欠けているような気がする。当時の撮影所長だった城戸四郎に"小津は二人いらない"と言われて松竹を追われてからの成瀬巳喜男の作品群の充実ぶりと比べると、残念ながらそう感じてしまう。やはり、「山中貞雄がもっと生き永らえていたなら(あの戦争で若くして死ぬことがなかったならば)、山中と共に、彼の盟友である小津ももっと多様な傑作が数多く残せたのでは」と、とても淋しく悔しい気持ちになるのは、私だけなのでしょうか? 追記:とはいうものの、先日BSで再見(途中からだけど)したら、結構面白く観れてしまいました。まあ、難しいことは抜きにして、とにかく小津を楽しみましょうよ!(←って、おまえなあ) 【なるせたろう】さん 9点(2003-01-18 18:20:21) |