1.《ネタバレ》 出だしは超がつくほどのクズだった青年が、終わる頃には一回りも二回りも成長している。
そうした成長物語であると同時に、青年が不幸のどん底に落ちた様を楽しむ映画でもあるのが、この映画の奥深いところだ。
普通なら青年の成長絵巻でハッピーエンドとなるところを、最後の最後で落としてみせて面白くさせてくれる。
劇中でトヨエツが言っていた「どん底に落ちたら映画の主人公になった気分で面白くなってきたぞ!と思え」の状態だ。
不謹慎ながら、この青年が不幸になればなるほど面白くなってくるのは紛れようもない事実であり、トヨエツが息子に放ったこの一言はまさに名言だ。
作品名にある大沢誉志幸のあの名曲が流れるのを楽しみにしていたら、聴き慣れたバージョンではなくアコースティックバージョンだったのが微妙に残念ではある。
しかも、歌詞にある「彼女が出て行った」のではなく、出ていったのは青年の方だったしね。
それはさておき、途中で集中力を切らさず最後まで見ることができたのは久しぶりだ。
予期せず傑作と出会えた。