12.《ネタバレ》 「GO」は、青春映画ですね。
とってもテンポの良い、ハイ・スピード活劇という感じですね。
冒頭のスーパー・グレイト・チキン・レースからしてノリが良いです。
しかし、この作品の底流にある、ずっしり重いテーマは
『在日』の問題です。
いや、それが必ずしも第一のテーマでなくともよいとは思うの
ですが、私にとっては第一のテーマです。
私にとっては、それなしには、この作品に意義を感じ取れ
ない基底的モメントです。
『在日』と書くことにすら、その背後には色々な意味、背景
が横たわっている、そういうものとして書くということ、
そんなこともほとんど考えたこともありませんでした。
ラスト近くの校庭でのシーンで、「おまえら、どうしてなんの
疑問もなく俺のことを<在日>だなんて呼びやがるんだ?」
というせりふには衝撃を受けました。
今でもその衝撃は私に内在して、私を衝き動かします。
私にとって、『在日』の問題は、近くて、遠い問題でした。
同じ日本に存在しているのに、
『在日』の方の多くの小説や評論があることは知ってはいました。
しかし、私にとって、それらは、何か「敷居」が高く感じられ
ました。
その為、一切読んだこともありませんでした。
『在日』の方たちの、ごく普通の日常生活とか、日常的にどんな
生活を営み、どんなことを悩み、考えているのか、そういう
身近な次元で、『在日』の方たちの内面世界を垣間見ることができたという感じです。
民族的な差別に対しては、屁とも思わない、強靭な主人公。
しかし、恋した彼女に拒絶されたことが、初めて心底こたえた
んですね。
『在日』の方にとって、そういうことこそが、民族的な壁なんですね。
そういうことを学べたということが、私にとって一番大きな
意義でした。
民族学校内での実際の様子を、その一断片でも垣間見れました。
また、北朝鮮や朝鮮総連を必ずしも全面的には、最早信頼し
てはいないこと。
それでもやはり、ある人は、民族団体の側で生きて
いくという考え方。
また、ある人は、それを超えるものを探し求めるという生き方、
北朝鮮による拉致事件、核開発、朝鮮総連への批判と幻滅、
とっても難しい、苦しい時期だと思います。
それでも、生きていく、その基本的な方向性、基底的なことを、
この「GO」から学べたような気がします。