1.《ネタバレ》 香港の本格的武侠もの映画になります。年始ぐらいに評判になってて観てきました。
話の舞台は史実にのっとっていて1990年代に本当に存在したと言われる九龍城砦が舞台になっていて立体的で迷宮のように入り組んだ造形がキッチリ作られて、話の舞台のイラストを絵本のようにまとめた書籍も出ていて大迫力となっています。
私自身は武侠ものは好きなので、去年だと「シャクラ」ってやつがそうでしたか。昔の名作だと「チャイニーズ・ゴーストストーリー」「グリーンディスティニー」「英雄」なんかがその系列の映画で、派生で「少林サッカー」あと台湾人形劇で最近完結編の出た「Thunderbolt Fantasy」も同様の系統の話だし、いわゆるマーベルなどのアメコミヒーローも源流として影響を受けているとか、最近やっと日本映画でも「キングダム」なんかがそれ系のエンタメとして高完成度で出るようになって、やっと日本でも破天荒な伝奇アクションをエンタメ映画としてしっかり作れるようになったかーというところで、本家本元の中国(香港)で、王道の世界的にも評価され得るエンタメ武侠映画が久々に出てきたなあ、それも魅力的な若手がずらり揃って、サモハンみたいな往年の名優も交えつつ、という所で実に感慨深い映画でした。
なので武侠っていう以上「英傑」と言われる超常的な能力を持ったヒーローが出てくるのは定番で、普通なら大体何だか知らんけど超跳躍力とか神通力で空から飛んで現れたりするのですが、本作はいちおう「九龍城砦」という史実に存在した舞台をベースに描いてるのでそこまで非現実的な能力なり演出はしてなくて比較的現実寄りに描かれてる感じでした。
あと武侠ものの定番的話としては、因果応報、因縁といったものが入り組んだ一筋縄ではいかない物語と厚い人情の世界が魅力で、敵と思った相手が実は味方だったり、その逆もあったり、敵なのに長く親身に交流した結果思い入れができてしまってジレンマに悩まされるみたいな話に、ぬおー! っと悶えながら観るのが面白いのであって、たくさんの英傑たちが様々な関わり合いで絆を作り合っていく話が展開していって、実に濃密で良かったです。
登場人物的には主人公含めかっちょいいキャラばかり出てくるんですけど、やっぱり龍兄貴がカッコ良すぎてしねる感じで惚れました。サモハンもいいけど、その辺の強すぎるボス系の人ら(かつリアルでも往年の名優)は、普通無敵で、負けないので、必ずそこで敗れるには事前に理由付けがあってそれらを踏襲しつつ敗れて、そのあと新しいアクションスターたちが出てきて活躍するというところに香港のアクション映画界も世代交代がしっかりなされて新しい時代になってきたんだなーという点も感慨深かったです。
実は床屋の主人がゴミゴミした治外法権的コミュニティの中で最強の英傑であるというのは映画「カンフーハッスル」でも同様の設定だったりしたので同じようなのを踏襲してるなーと思った感じです。かつてのヒーローも、平和になったら市井のごく普通な仕事をして日銭を稼いで暮らしていると。
あと、九龍城砦のセットの生活描写は本当にすごくて、主人公がそこでかくまわれて仕事をして暮らしていくようになるのですが、ゴミゴミした薄暗い食堂にみんな集まってTV観て分け隔てなくわいわい楽しくやってる情景なんかは、私自身仕事で中国系の田舎の方で長期にいたことがあるんですけど、実際あんな感じだよなーとしごく感じたところです。
あと、ここではこの飯がうまいんだって肉飯が出てくるんですけど、海外に行くと食べ物が合わなくて大変なことがよくあるのですが、中国等日本近隣のアジア圏が素晴らしいのは、とにかく食べ物が安くて美味くて外れがないってところで、あれの再現飯がネットでちょっと出てましたが、実際食べてみたいなーとしみじみ思ったりなんかしました(じゅるり)。
そんなところです。