1.《ネタバレ》 この映画のタイトルの意味は性格的なブスという意味で間違いないだろう!あれも嫌だし、これも嫌だし、とにかく全てが嫌で仕方ないそんな性格ブスを演じている富田靖子、この女優と言えばまず真っ先に大林宣彦監督の「さびしんぼう」での一人二役を思い浮かべる。そんな富田靖子の魅力満載、何しろこの女優のオーラ、顔付き、表情、全てが観ていて不思議なほど癒される。富田靖子演じる麦子が先輩の芸者の籠を持って走るシーンや文化祭でのあの八百屋お七のシーン、そして、何と言ってもラストの清々しさ、晴々とした笑顔が素晴らしい。それまでほとんど笑うこともなく、常に暗い表情しか見せなかった麦子が見せる初めての笑顔の中に初めての幸せ、幸福感、喜び、色んなものが見てとれる。作品全体を包み込む優しい感じのする市川準監督による映像、少ない台詞、最近の映画のように何でも台詞で語らせるものとは対照的な映像で見せるこの映画が私は好きだ。この映画は何度も言うように富田靖子、富田靖子、健気な女の子とどこか影のある不思議な女の子を演じさせるとよりスクリーンの中で輝きを放つこの女優さんが私は好きです。「さびしんぼう」は別格として、それ以外の富田靖子の出ている映画でどれか一つだけ選べと言われたら迷わずにこの映画を挙げる。