1.ウディ・アレン監督第一作目『泥棒野郎』は初期の作品のためコメディ色が極めて強いが、恋愛描写等もきちんとしており隠れた傑作ではないだろうか。ナレーション入り、インタヴュー形式、ドキュメンタリー・タッチ、精神分析医登場、ギャグ、恋愛等々。その後の彼の作品の方向性を指し示すべき才能がいきなり爆発している。内容はオープニングのバージルの靴磨きのシーンから‘つかみはOK!’で終始笑いっぱなしだった。石鹸を彫って靴墨を塗った銃で脱走に失敗した時、「ちょっと泡がたち過ぎじゃないか。」とツッコミを入れたのは僕だけじゃないだろう。また、マーヴィン・ハムリッシユの音楽も変な意味で心地よく耳に残っている。最後に、料理に関するセンスに少々欠けているところが見受けられるルイーズ役のジャネット・マーゴリンは大変キュートだったが、惜しくも93年に他界している。