74.《ネタバレ》 人類と異星人(エイリアン)の最悪のファースト・コンタクトを描いた傑作。
単なるパニック物に終わらず、人類が宇宙に拡がっていく開拓という名の「侵略」。
「本当のエイリアンはどっちだ」という作品だ。
スピルバーグの「ジョーズ」におけるテーマと似ている。
人間が生活を拡げる過程において蔑ろにした自然。
住処を追われた動物は、やがて人々のテリトリーに「戻って」来る。
この映画のエイリアンは「侵略者」と呼ぶには相応しくない。
正しく言えば「報復者」と言っても良いだろう。
自分たちの領域を犯そうとする者への・・・。
エイリアンを「生物兵器」として利用しようとしたのは人間なのだから。
まあリプリーたちにして観ればとんだトバッチリだがな。
宇宙空間という「密室」、他の生命に寄生して成長する化物、逃げ場のない恐怖・・・一人、また一人消えていく命。
最初この物語は「群像劇」だったが、生き残った者がこの物語を動かす「主人公」となる。この二段構え。
そして仲間を殺された者が抱くのは復讐心・・・恐怖を乗り越える人間の恐ろしさと強さ!
終盤もまた「二段構え」の死闘。
作り込まれたセットと言い、今見ると時代錯誤な装置も巧みな演出で違和感を感じず楽しめる。
これぞ娯楽映画よ。
エレン・リプリーは好きなキャラの一人だ。
仕事を最優先にする傍ら、誰よりも仲間思いの熱い女性。
男勝りな勇気と行動力、悲鳴をあげながらもエイリアンと戦い抜いた気丈な女性像。
猫の「ジョーンズ」のためにもう一度戻って来る姿・・・そこに惚れた。
エイリアンに「糞野郎...糞野郎・・・糞野郎!!!!!」と言いながらダスト・シュート&止めの一撃!
女戦士エレン・リプリーの誕生である。
「テルマ&ルイーズ」でもそうだったが、リドリー・スコットは「ケツ」で女を語る。
良い女は尻もビューティフル。
二段構えのある映画は本当に面白いです。「駅馬車」しかり「黄金狂時代」しかりしかり。