4.《ネタバレ》 チャールズ・チャップリン短編時代の傑作の一つ「偽牧師」。
この「偽牧師」は「黄金狂時代」の前に撮られた西部劇の要素を含んだコメディだ。
チャップリンは「移民」や「犬の生活」辺りから優しさのにじみ出る映画が増えてきたが、本作はそんなチャップリンがブラックだった頃の面影を感じさせる。
今回のチャップリンは脱獄囚。
何で捕まったのかは知らないが、お腹が空いてホットドッグでも盗んだ(「犬の生活」)か、無銭飲食(「モダン・タイムス」)か、女性関係のもつれ(私生活ノンフィクション)で豚箱に入れられたかどれかだろう。
それよか下水道から脱走しただって!?
新聞にそう書いてあった。
後の「ショーシャンクの空」である(違います)。
そんでチャップリンは牧師の服を拾って偽の牧師と化す。
しかし運の悪い事に本物の牧師と勘違いされてチャップリンは街に居座る事となる。
教会でやりたい放題自由奔放なパフォーマンスを演じるチャップリン。
聖書を見て「宣誓!」の場面は爆笑したわ(裁判についての詳細はビリー・ワイルダーの「情婦」かシドニー・ルメットの「十二人の怒れる男」辺りが解りやすいかな)。
踊って、笑って、騙してバタバタ・・・「黄金狂時代」への布石が散りばめられた44分間。
でも流石に帽子は食えなかったか。
泥棒仲間との再会でギクリ、スピーディーなスリ合い、「牧師」から「紳士」への早変わりなど見事としか言えない。
ラストが実にチャップリンらしい締めくくりだ。
ありがとう保安官。どうせなら銃撃戦の無い場所でほっぽってくれれば良いのだが・・・。