2.《ネタバレ》 似たプロットを持つ「脱出」と「カサブランカ」。
ハワード・ホークスがヘミングウェイの原作を純水な娯楽として仕上げたのに対し、マイケル・カーティスはやや政治色の強い内容となっている。
決定的に違うのは船の「脱出」、飛行機の「カサブランカ」。
そもそも題材は似ているが原作はまったく違う。内容もオチもまったくの別物。
で、どっちが好きかと問われれば俺は迷うことなく「脱出」を選ぶ。
ホークスが好きだからというワケでなく、純水なハードボイルドであり娯楽に徹したコチラの方が完成度があるだろうし好きだ。無駄がなくスマート。
ハンフリー・ボガートもコッチの方がイカしてる。
というより、俺は「カサブランカ」みたいに臭すぎるメロドラマが嫌い。
女性の好みもイングリッド・バーグマンよりグレース・ケリーやローレン・バコールみたいな色気と情に厚い方がタイプなのです。
ノッケから酔って寝てるウォルター・ブレナンに水を浴びせて起こすボガート。
ホークス映画といえば名優ブレナンの存在も忘れられない。コレほどライフルが似合う御老体はいない。
ローレン・バコールの粋な登場の仕方にもそそられる。
酒場の粋なピアニストも好きだ。
銃撃戦の後で怯える人々をピアノの音色で元気づけようとする心意気。レクイエムまでかなでてくれる。
ピアノを聴いて歌いだすバコールが良い。
中盤の“脱出”シーンは警備艇の照明だけを撃ちぬくスリリングなやり取り、終盤のバコールとボギーの連携&机ごと敵を撃ち抜くシーンに震えた!
ラストシーンで顔を見合わせにんまり笑うボギーとバコールは完璧夫婦。本当に結婚しちゃうんだからお熱いっす。
ローレン・バコールとのコンビは「三つ数えろ」でも拝める。
ラストの駆け引きも面白かった。傑作。
ローレン・バコールは今もスクリーンの中に生き続ける最高の女優の一人です。