1.かつて、初めてこの作品を観たときには「なんじゃい、それでシマイかよ」と思ったのも事実ですが、それはなんとなくホラー映画に対して、「派手な特殊効果」というものを期待しちゃってたから、なんですね。リアルで無くてもいいので、とにかく目を引く特殊メイク、変身シーン、残酷さを通り越してアホらしいスプラッター描写。
この作品、そういうのが皆無とは言わんけど、だいぶ抑制されてます。なので物足りなく感じた時期もあったけど、「何かが起こりそう」な予感、雰囲気、といったものをホラーの魅力だと感じるようになってくると、やっぱりこの映画、イイんだなあ。
霧に乗って亡者どもが復讐にやってくる、というオハナシですが、舞台は小さな港町。ラジオ放送で何となく町の住人たちが繋がってる。要するにある種の「空気」がもともとこの町にあって、その上から、霧という別の「空気」が町を覆ってくる感じ。その霧の中に一群のアヤシげな人影が立ってる光景、ってのがいかにもカーペンター風味。
コワい、よりも、ひたすらアヤシい。
音楽は例によってカーペンター自身、ということで、正直、単調な印象が拭えないのもいつも通り(それ故に決して映画を邪魔してないのもいつも通り)ですが、このメロディってもしかして、「怒りの日」をイメージしてるんですかねえ???