1.これは「映画」であってドキュメンタリーではない。素人が演じているがこれも監督が演技指導をして「演技」しているのだ。それでもこれは現実のアフガニスタンという国を多分忠実に、半ばドキュメンタリーのように描いている。カブールの町は至る所が破壊され、人々はタリバンの恐怖に怯え、女性に人権はなく家畜並みの扱いをされ、幼い少年までタリバンに駆り出され兵士にさせられる。こんな様子を見るとたとえどんな状況にあろうとも、平和な日本に暮らしていることを心から感謝するだろう。そして同じ地球上でこんな悲惨な暮らしを強いられている人たちがいることに強い憤りを感じる。映画ではオサマにも国の状況にも救いも光もなかった。これは現実のアフガニスタンという国の置かれた状況がそういう閉塞的な状態ということなのだろう。こういう中で祖母が「人はみな同じ」と語る言葉は印象深い。イラクばかりに目が向いている今、忘れられたようなアフガニスタンからの声としてとても意義深いものがある。NHKが協力して作ったので完成前にメーキングビデオのようなドキュメント(オサマ)が放送されたのを見ていた。主役のオサマを演じた女の子も日々の暮らしに困窮する状態だったというが、他の子供ともどもこの映画に出演することで収入も得て今は学校にも通えるようになったそうです。混乱のアフガニスタンで作られた初めての映画というだけでもとても意義深く、点などは意味がないようでどうつけていいのか分からない。現状を伝えるという意味ではインパクトも大きく、これはぜひ多くの人に見て欲しいと思う。