1.ワイルダー、ハリウッド監督6作目。これは、戦後のドイツ教育プロパガンダとしての使命を帯びた特異な作品ですが、そこはワイルダー、そんじょそこらのドキュメンタリー作品など撮るわけがなかった。ベルリンを舞台に風刺をきかせた見事なラブコメディーじゃないか、これは。よくできとるぞ、この脚本。マレーネ・ディートリッヒとジーン・アーサー、2人とも雰囲気まんまやん!というつっこみを入れたくなるほどまんまな役柄なんですが、特にアーサー演じる堅物が壊れていくところの表情、しぐさのコントラストは絶品です。恋の行方も二転三転、ワイルダータッチで、小道具もばっちり。こんな名作が隠れていたなんて、プロパガンダ映画のレッテルを貼っていた私が悪うございました。お詫びついでに9点献上いたしやす。