1.ありきたりな物語という枠組みをあえて設け、いかに見せていくかに焦点を絞った傑作。その意気、志しや良し。■特にロングショットの使い方が上手く、例えば、一人車に残された女性を捉えるローアングルからのロングショットや、モンスターのいる小屋から脱出した後、主役の見た目による俯瞰ショットなど、アクションではなくホラーを撮るという気迫に満ちている。夜のシーンでブルーライティングなどにより満遍なく光を当てるのではない、まさに「クライ」照明もよい。■できればアクションシーンなどないまま、陰気で絶望的な脱出行に終始してほしかったのだけど、ま、しかたがないだろう。大木の上でのアクションというのも気が利いているし、爽快感のかけらもない陰惨なアクションに徹しているのも好感が持てる。いや、ほんとにがんばってるのだ。■うむうむやってるぜ、という感じ、これっすよ観たかったのは、というワクワク感。映画館で見逃したことを心底、後悔した一作でした。