《改行表示》6.《ネタバレ》 やたらリアルに感じられる。暗殺の仕方。チーム編成までの流れ。殺人者としての苦悩と恐怖。そして表面的に凶悪さの感じられないテロリスト。テロリストの情報を教えてくれる人間が相手にも自分たちのことを流しているとぽつりと告白するシーンはなにげないがとても好きだ。しっかり相手の目を見たまま告白しているところに意志が感じられ、善も悪もないといっているように見えた。かといって過剰演出で露悪的なわけでもなく、ほんとうにさりげないシーンだ。情報屋であるイタリア人(違うかもしれない)のゴッドファーザーみたいなおじいちゃんたちも、主人公とは別の形で家族と殺人を共存していて、興味深い。ミュンヘンの歴史的背景はほとんど知識がないが、おそらく、どこででも起こっている普遍的問題なのだろう。血の歴史は変わらない。 平和ボケしてるからかもしれないが、心にズシンときた一作。長いけど何度でも見たい 【コウ】さん [DVD(字幕)] 10点(2008-10-03 03:28:10) |
5.平和を呼びかける重いテーマを持ったこのような映画を、あまり事件に影響を受けないで済んでいる立場の私が、ただスピルバーグの映画だといってつい気楽に娯楽として楽しんで観てしまっているという所が、良く考えると映画の内容に劣らず恐ろしい事であったと感じました。それから肝心な事ですが、そもそも中東の人たち、特にパレスチナの人々には、この映画をきちんと観てもらえているのでしょうか?何だかパレスチナでは戦いの事ばかりが話されていて映画などは全く論外になっているような気がして…。彼らがじっくりと鑑賞する事も無くただ私たちだけが色々思ったり感想を述べたりしているだけでは、結局事件がただ商売や暇つぶしの道具に使われただけになってしまうと思います。ですので私はこの映画を、中東を始め世界中の人々が決して娯楽作品とは考えずにさらにたくさん観てくれて、そして地球上にもっと多くの平和が訪れるようになって欲しいと願っています。(コメント修正しました。すみません。) 【teruhisa】さん [DVD(字幕)] 10点(2007-06-11 03:48:04) (良:1票) |
4.重たい内容だが、そこに娯楽性を持たせるスピルバーグは、やはり切れ者だと思う。しかしまぁ、こうまでも限りなく中立かつイスラエル・パレスチナ双方を批判してくれるとは思ってもみなかった(本人は特典で否定していたが)。それにしても、あの連中は、こんなことをいつまで続けるのだろうか。どこまでいっても出口は見えないし、暗闇の中でひたすら暴力と殺戮と血が流れるだけだと個人的には思うのだが・・・。 |
3.スピルバーグの楽しく愉快なアクション演出、サスペンス演出を楽しもう。まるでこれは70年代アクションではないか。■異国のホテルのベランダ。風が気持ちよく吹き、繁華街のざわめきが階下から微かに聞こえてくる。隣室の新婚夫婦と、やがて暗殺されるであろう男との語らい。そして暗殺の合図を示すベッドサイドのスタンドをなめ逡巡する暗殺者の表情を捉えた、悪い意味でも良い意味でも稚気あふれる構図。そして爆発。■あるいは、子供が忘れ物をとりに暗殺現場へと帰ってくるあたりのサスペンス、そしてオランダ女!!!その登場時の時代錯誤なノワールぶり、そして暗殺シーンのああなんてかっこいい銃なんだ、とガウンをはだけた女の風情。あるいは市街地での銃撃戦。画面に対し垂直に配された階段を駆け下りるモサド暗殺チームと、下で待ち受けるパレスチナ軍団を共におさめたロングショット。見せ場のことごとくが、かああっつこいいいいい。■正直、私はそれで充分なのだが、ま、いろいろある。そのいろいろがスピルバーグの場合、許せちゃうのが何故だかわからん。ゲージつぶるなよ深刻ぶるなよ、とは思うが、許せちゃうのは何故だろう。 【まぶぜたろう】さん [映画館(字幕)] 10点(2006-03-29 00:27:43) |
【zahrky】さん [映画館(字幕)] 10点(2006-02-16 04:29:01) |
1.《ネタバレ》 10年ほど前、本作の参考図書(何故原作ではないのだろう?)「標的は11人」を読んで唖然としたのだが、今回スピルバーグが映画化すると聞いてさらに驚いた。細かい部分でかなり脚色されているが、初めて本を読んだ時の衝撃はそのままである。2時間半という長尺を感じさせないのは流石だ。作品は冒頭からして刺激的である。五輪村に侵入しようとするゲリラの前に、アメリカ選手と思しき団体が登場して、フェンスを乗り越えるのを助けてしまう。その後虐殺、暗殺チームの登場、ミッションまたミッションと、実にテンポよくストーリーが展開していく。引きずるような重さはあまりない。暗殺シーンはどれもグロテスクだが、どことなくコミカルだ。レバノン作戦のシーンは「地獄の黙示録」を連想させる。爆弾とおもちゃはいかにも監督が好きそうだ。「グーニーズ」ばりのトリックと、「ライアン」ばりのスーパーリアリズムを同時に殺戮シーンにぶち込むという荒業は、この監督以外不可能であろう。ミッションは進んでもテロは止まらず、ターゲットは皆紳士な普通の人間。味方と敵がわからず、狙う側がいつしか狙われる側へ。仲間が死んでいく。次第に暗殺チームを蝕む苦悩と疑心暗鬼を演じきった俳優陣もお見事である。不気味な音楽も素晴らしい。最後のシーンの貿易センタービルが印象的だ。舞台が70年代だけあって、灰色の画面はその頃のアクションの雰囲気である。しかし感動大作やアクションにしては悪趣味すぎる。とことんシリアスな内容のはずだが、視点は限りなくシニカルで、不気味で、無力感に溢れている。同時に、監督のダークサイドと偏ったリアリズムを凝縮してぶち撒けたようなぶっ飛び方が最高に痛快でもある。この暴走の果てに、監督が言いたいこととは一体何なのか。恐らく平和がどうたらというより、「あんたら、一体何やってんのさ?」という感じではあるまいか。本作は「シンドラー」「ライアン」の流れに位置づけられているが、どちらかというと「グーニーズ」「インディージョーンズ」の系譜だと私は思う。 【わいえす】さん [映画館(字幕)] 10点(2006-02-14 16:58:08) |