17.《ネタバレ》 俺様ちゃんPush!「ノワール映画」の5本の指に入る秀作。
まずジョルジオ・モロダーの曲で一気に映画に入ってしまう。
カストロ演説から入る曲がテンポよくキューバから吐き出されたボートピープルの不安と行く先を予させる。
そして入国管理局員に名前を問われた漢が「アントニオ・モンタナ!…で、アンタの名は?」といやらしい笑みを浮かべる。
白い歯なのに下種なイメージに見える様が流石!パチーノの面目躍如!
マイアミの暗黒街に身を投じつつ、「信用を貫き、漢として生きる」はずの彼は組織のボスの女に心奪われる。
卑怯な遣り口で殺されそうになり、ついにボスを葬った。
激動の一夜の末、女を迎えに行き、身支度をさせる夜明け…
「世界はお前のもの」と電光された飛行船を見て、全てをその手にするため野心に燃え突っ走る…仲間や、画面には出なかったであろう数々の暴力の末に彼は成り上がる。
変質狂な漢は破滅の王様となり、堕落してゆく…そして溢れるエネルギーは、周りの人間にまで向けて傷つけてゆく。
歯車の狂った彼は愛する人を失い…兄弟といえる友を誤解の末に殺してしまい…愛する妹に銃弾を向けられるが決して妹に銃口を向けることはなかった。
このとき、麻薬王ソーサに言った「俺の武器はガッツと信用」のセリフが思い出され、俺様ちゃん侠泣き!
激しい銃撃戦の末、後ろから撃たれ落下したプール…そこにあったオブジェには「世界はお前のもの」と。
…そうか、突っ走りの末にお前が手に入れた世界は、この血塗られた小さなプールだったのか…
そう思うと俺様ちゃん、再度侠泣き!ク――――ッ!最高!!
…そこへ流れるOPの曲。
…あのエンドロールは、プールで消え行く意識の中、トニーがアメリカに向かうボートの中で新天地アメリカへの野心に燃えてた事への回想だったような気がしてならない……