1.木村監督のこだわりの映像、四季折々の劔岳の美しさ雄大さ、そして険しさや厳しさが大画面いっぱいに表現されました。
劇場で観て本当に良かった。
こんなに綺麗なところがあるのだなと、ため息が出ました。
それと共に、雪国に住むものにとっては、見るだけで手足がかじかみ寒さが身に染みました。
寒い冷たい本当の雪です。
軽い発泡スチロールのウソ物ではありません。
CGの小奇麗ではかないものでもありません。
雪のけ、雪掘り、雪下ろし。
それだけでも辛いのに、明治時代の衣装で切り立った劔岳に登るなんて!
監督をはじめ、キャストスタッフの熱い思いとご苦労がこちらに迫ってきます。
この映画を観て昔を思い出しました。
子供心に刻み付けられた「八甲田山」の雪の進軍。
今思えば、実写による嘘偽りの無い迫力る映像に心を動かされたのでしょう。
数十年経った今でも、いくつかのシーンが蘇ります。
この作品の見どころは、浅野忠信さん(柴崎芳太郎)と香川照之さん(宇治長次郎)の息の合ったやりとりだと思います。
スタジオではなく本物の山で悪戦苦闘し、次第に役になりきり、かけがえのない相棒になっていったのかな?と思いました。
我慢強く黙々と働く雪国の気質。
無茶な命令でも全力を尽くす気力。
古き善き日本人の真心がこの作品に息づいています。
2009年度私のベスト映画のひとつです。