10.《ネタバレ》 クライムムービーとして、社会派ドラマとして、大変完成度の高い傑作。2時間30分があっという間に過ぎます。ここまでの作品にはめったにお目にかかれません。
大きな3つのエピソード、事件が、同時進行で進んでいく様子は圧巻。
一つ一つの点にすぎなかったエピソード、人物が、線と線で結ばれ、次々とつながっていきます。ですが、よくある『最終的に一つの大きな結末を迎える』というわけではありません。それぞれのドラマがそれぞれの完結を迎える脚本が、リアルを感じさせます。
一つ一つのエピソードは、それぞれ1本の映画が撮れそうなほど、中身が濃いです。
登場人物がこれだけ多いのに、全く混乱することがありません。
エピソードも、人物描写も、細部にわたって手抜きが一切見られません。
あまりにも真面目に撮られているため、一見娯楽性が無いように見えるこの作品。確かにそーかもしれません。
ところがこーゆー作品は、ある瞬間、物語の中に入りこんでしまうと、鳥肌が立つほど面白いのです。その面白さっていうのは、『楽しい』ではなく、物語を読み解く面白さなのです。
ハビエールとマノーロは、将軍と麻薬組織のつながりを証明できるのか。ヘレーナは300万$を調達することができるのか。ロバートはキャロラインを見つけ出し救うことができるのか。レイとモンテルはルイスを証言台で証言させることができるのか。
下手なアクション映画やサスペンスより、よほどハラハラさせられたのは、きっと私だけではないはずです。
何が凄いって、これが純度100パーセントのフィクションであるということです。
これだけシリアスで重いテーマを扱っているのに、ぎりぎりのバランスで大衆向けに収めていることです。
そしてすべてのエピソードに、『救い』と『報い』の両方を用意していることです。
これぞ究極のエンターテイメントであります。