1.《ネタバレ》 このアイオロス号の船上には
●殺人鬼においかけらて焦るジェス
●事態を変えようとするジェス
●殺人鬼になるジェス
が、同時にいつも三組いて、時間差で動いてる。
つまり「トライアングル」っていうタイトルは
Tri
(”三つの”という意味を持つ接頭辞。たとえばTrinityは”三”位一体、スターウォーズTrilogyは”三”部作、フランス国旗はTricolore(トリコロール)は”三”色・・・といった例と同じ)
と
Angle(角度、視点)
という意味。つまり、船上の3つのジェス視点から描いた物語ということである。
「オブリビオン」という映画では、3人の男女の三角関係と、空中に浮かぶ三角錐の形をした宇宙人基地が特徴的だったけれど、”3”ていう数字は、実に意味深で象徴的かつ哲学的だ。
さてそもそも、ジェスの無限ループの最初のはじまりは、あの車の事故。
なぜなら、ジェスがアイオロス号に乗った後、仲間の時計は11持なのに、彼女の時計は8時。朝ヨットで出発して数時間たったので仲間の時計は11時をさしているが、ジェスは車で事故ったあの瞬間の8持ころで時間が止められてしまってるから。
シンママのジェス。自閉症の息子を愛してはいるがパーっと息抜きがしたくて、友達以上恋人未満の男に誘われたヨット遊びをしたいと思った。
自分の都合に合わせてくれない嫌がる息子にイラだち、叱り、むりやり叩いて着替えさせ、車で港に向かった。
そこで事故を起こしてしまう。息子は即死。でもジェスは命に別状はなかった。
でも、自分本位の身勝手な行動の果てに息子を死なせてしまった罪を犯し、共に死ぬべきものとしてジェスの元にお迎えに現れた死神。(タクシー運転手)
死神運転手が現れた瞬間、それまで浜辺の明るい日差しに照らされていた画面が、ガラっと暗くよどむ。
いかにも”死神降臨”という映像に「オオオッ」となる。
「後で戻ってきます(ケジメつけて死にます)」と約束をしながらも、死んだ息子も放置でクルージングに行ってしまうジェス。
その誤った選択が、そう、無限ループの始まりだったのですね。
ジェスがこの無限ループから逃れる唯一の道は、死神運転手に「あの世にいくことを選びます。身勝手なことをしてごめんなさい」と、ゆるしを乞い、死を受け入れること。
そうやって自らの人生を終わらせることは、一見バッドエンドだ。
しかし彼女が心から反省し、戒心して一緒に天国にいけることができれば、天国で幸せな母子としてやっていけるかもという明るい希望を残してくれる。
彼女が船から脱出し「息子のところに帰りたい」と必死にもがく場面も描かれているのだから。
だからその事にいつかジェスが気づいて、そうなるまでは・・・ループは続くんだよ・・・フフフ・・・みたいな、そんなエンドなんですねこの映画。
浜辺にあった観光客向けの
「Good Bye Please Return(さようなら、またのお越しを!)」という看板。
これはジェス向けの
「いってらっしゃい、でもちゃんとヨットには乗れませんって仲間に伝えて死神のところへ戻ってくるんだよ」という良心の声にも
「いってらっしゃい、何度繰り返しても反省せずヨット遊びに行っちゃって、無限ループに再び戻ってきてね、フフフ・・・」という悪魔のささやきにもとれる
こにくいダブル・ミーニング。
彼女は、どちらの声に耳を傾けるのだろうか?
次回のループでは、息子と共に昇天&成仏するハッピーエンドになることを願いましょう。
追伸:この映画ホント見るたびに面白くって、何度も何度も見てしまいます。うっかり自分が鑑賞の無限ループにはまっていることに気づく(笑)