2.《ネタバレ》 “西部劇”と言われてパッと思い付く作品。幼少の頃に何度も何度も観ていて、僕の中で「マカロニウエスタン=西部劇」という図式を成り立たせてしまった作品。僕にとっての西部劇の原点。『リオ・ブラボー』とか『西部開拓史』みたいな西部劇もあるって知ったのはだいぶ後のことでした。それほどに濃厚な、強烈な油っこ~い西部劇。こんなもん幼少時代に観てたら味覚おかしくなるわ!と、今となっては思えてきます。
その後も断片的に見返してはいましたが、全編通して観るのはかなり久しぶりでした。正直観る前は、幼少の頃に感じたような興奮は得られないだろうな、と思っていたのですが、いやいや、やはり名作は長き時を経ても色褪せません。むしろ新たに気付くことも多く、さらなる感動を得られました。こんなにも泣かされるとは。
大筋は豪快、しかし丁寧な所は丁寧なのです。
特にイーライ・ウォラックと神父の兄の会話、そしてその後のイーストウッドとウォラックのシーンは素晴らしい。ケンカ別れした兄の事を「兄貴は俺のことが好きなんだ、俺みたいな風来坊でも暖かいスープで迎えてくれる」とウォラック、一部始終を見ていたイーストウッドは「食後には葉巻が一番だ」とだけ言って葉巻を渡す。葉巻を受け取り、一瞬視線を交わす2人、ニカッと笑うウォラックとモリコーネの音楽。号泣モノ。これだからレオーネは素晴らしい。
そして賞金稼ぎ、埋蔵金、南北戦争・・・カオスな物語を力技で駆け巡った末にたどり着くラストの決闘。それまでの物語を全て飲み込んでしまうかのような3人だけの異様な空間で見せる最高潮の盛り上がり。“漢”3人の極端なクローズアップにロングショット。堪らない。ただただ酔いしれる。このシーンはいったい何度観たことか。僕にとっての西部劇の原点でもあり、ただひたすら面白い!だから好き!と言える“おもしろい映画”の原点となった思い出深い生涯最高の一本です。