13.この映画に関してはゲームの世界と比べられることが多いのが残念だ。
バイオハザードのゲームをしたこともなく、またする予定もないゾンビ映画好きな私から言わせていただければ、今作は「エイリアン」シリーズの1と同質の面白さを堪能できた。すなわち【これから何が起きるのか?】のワクワク感と、敵(「エイリアン」でいえばエイリアン、「バイオハザード」についてはゾンビ)に関してよく分かってない主要キャラが混乱の中で取り乱しながら次々とやられていく展開、そして天下無敵のスーパーヒロインの存在だ。
なおかつバイオシリーズでいえば私は今作が一番好きなのだが、それはミラが一番若いからでもある。
蒼白に近い色白の顔に、ブルーダイヤのような青い瞳が、ホラー映画特有の青白い画面にとてもなじんでいて、ホラー映画なのに美しいミラにほれぼれできる美しい映画でもある。
2作目以降は、アリスがどんどんアクション的にパワーアップしていくということで仕方ないが、筋肉隆々になっていくし、服装は戦闘モードで茶色系ばかりだし、顔も髪の毛も土ぼこりでススけていて”ほこりと汗まみれのアリス”であるのに対して、潜在的戦闘能力を秘めつつエレガンスを兼ね備えるアリス像は、実に個性的でグっとくるものがある。
さらにそんな美しいミラだけでなく、レーザービームで体をみじん切りするコーナーや、クイーンのホログラム等、全体的にスタイリッシュなイメージが多いことも高ポイント。2作目以降の大型の銃器や戦闘機まで登場してドンパチが繰り広げられる騒々しいイメージではなく、とぎすまされ洗練されたイメージが、ミラの透き通るような美しさとあいまって、今作を唯一無二の美しいホラー映画に仕立てあげている。
ゾンビ映画では、サントラはこれといって印象に残るものはないのだが、今作は、ダニーボイルの「28日後...」「28週後...」と良い勝負の、秀逸なサントラも擁していて、ミラの魅力と、ストーリー展開、映像と音楽、すべてにおいて印象深い素晴らしいゾンビ映画であることは間違いない。