1.《ネタバレ》 後ろ向きで祝祭に押し流されるバーグマンが刹那左からジョージ・サンダースに飛び付く、この感動!このカッティング!映画を破壊した者としてのロッセリーニを発見した喜び!ロッセリーニはロングテイクだけではない、この短いカッティングの小気味よさ、リズムは控えめながらヒッチコックに値する。車内3人の会話のシーンでの切り替えなんて明らかにおかしいし、車の直進に反して右折しようとするカメラの無邪気さなんてあまりにも危険ではないか。またはファーストシークエンスの素晴らしさ。エスタブリッシングショットを挿入することなく、車内での夫婦のただの横顔を注視させ、「見たか、あの車」―「スピード狂なのよ」なんて他愛もない、とても映画の始まりとは思えぬ詰まらぬ会話。ネオレアリスモと言えばロケーション撮影だが、その魅力をいま発見した。ロケーション撮影とは借景である。ヌーヴェルヴァーグがパリの街を道を壁を空気を愛したように、ロッセリーニはイタリアの道や建物を、彫刻や遺跡を、それが退廃したものであったとしても愛し、我々に提示している。既存の塊を取り入れてしまうネオレアリスモはあまりにも大きな革命だ。世界の表象として生まれた映画がついに世界に複数の世界を語らしめるにいたったその瞬間である!