6.《ネタバレ》 一見無駄の多い映画だ。物語を語る上でさして重要とは思えないささやかなシーンを、橋口亮輔監督は、けれどとても丁寧に描く。それは主人公3人以外の登場人物の描写、なかでもお調子者奸原くんと優等生清水さんの本筋とは無関係に描かれるシーンに特に顕著だ。落ちこんでいる無器用な清水さんにこれまた無器用な奸原くんが器用に披露するトンボ返り。学校の屋上でその脇役の二人が二人きりで見せるさりげなく心やさしいやりとり。その二つのシーンが主軸をさしおいて本編屈指の名場面になっていることからも分かるとおり、この映画の魅力はまさにその無駄さにある。さらに言えば、彼ら登場人物を延々とまるごと捉えようとする長回しや、描かれる人物の心情によりそうように二拍、三拍と長すぎる余韻をおいて切り替わる場面転換もまた、物語を語る上では冗長さやテンポの悪さを生じさせる無駄と言えるだろう。しかしながらそうした無駄の一つ一つが、そのくせなんとも魅力的なのが面白い。橋口監督にとっておそらくもっとも重要なのは、小気味よく物語を語ることではなく、彼ら一人一人の繊細な感情をじっくりとそしてしっかりと捉え、それを大切に大切に積みかさねていくことなのだろう。そしてそんな彼の、無駄を恐れず主役も脇役も等しく愛をもって見つめるそのまなざしこそが、この青春群像劇を心にふれる傑作たらしめている。まさに無駄ばかりの映画だ。けれどその無駄には一つのこらず愛がこめられている。ラストの自転車に乗って走り去る奸原くんの姿は、そんな無駄の上に咲くべくして咲いた大輪の花だ。その花は力強く、美しく、胸を打たれずにはいられない。無駄だらけのこの映画に本当は無駄など一つもありはしないのだ。 【BOWWOW】さん [映画館(邦画)] 10点(2009-08-03 22:43:33) (良:1票) |
5.リアルな「人」を丁寧に描いた映画だと思う。監督の人の心を見抜く力に圧倒され、こちらも正直に向き合わされる。ただの青春映画じゃなくて、一番心が揺れる年齢の時に必ずぶちあたる悩みに対して、一番かっこつけたい年齢の時に裸になれよと訴えてくる。観るのならなるべく若いうちに観られたら幸せだと思う。 【ぺんぎんうさぎ】さん [DVD(邦画)] 10点(2009-01-12 01:38:50) |
4.7年前、まだ池袋文芸座が改装される前に見てとてつもない感動におそわれました・・・。2003年1月22日このえいがについて私が運営してますHPにて書かせてもらってます。よろしかったら見に来てください。http://homepage3.nifty.com/ikuta999/ 【シンドバット】さん 10点(2003-01-22 01:06:28) |
3.<念のため、ネタバレに注意>大変よいです。邦画ならではの空気感や間もいい。そして内容も同年代の自分には説得力のあるもの。作中のあゆのセリフ「あたしが男でも好きになった?」これは印象深いセリフです。 |
2.凄い濃い映画だな、と。いろんな意味で。(笑)笑い有り、せつなさ有りでいい感じだとおもいました。ラストの田舎に行ったあたりからの非現実的な雰囲気がなんか好きです。 【ちせ】さん 10点(2002-04-28 19:10:43) |
1.ある意味も含めて10点です。深い深い映画です。あゆが出ているわけですけども、あの頃のあゆにはもうもどれないですね。いろいろと1人で突っ込めておもしろかったです。 【バカ王子】さん 10点(2002-01-02 15:08:29) |