《改行表示》84.《ネタバレ》 この映画を見た男の子の二人に一人くらいは、映画を観終わったあとに腕立て伏せを始めてるのではないだろうか?(笑) 個人的に本作は、ロッキーシリーズやファイトクラブに並ぶ、鑑賞した男子どもを容赦なく筋トレに誘うマッチョポルノ映画だと私は見做している。かくいう私も中学生くらいの頃、本作を初鑑賞してすぐ腕立て伏せに取り組んだ記憶がある。 …まあ冗談はそれぐらいにしておいて、本作は都会の頽廃や若者の鬱屈、狂気を描いた作品だが、意外と鑑賞後の後味は爽やかであることに気がつく。悲劇的な結末が多いアメリカンニューシネマの系譜に位置づけられる本作だが、その結末はハッピーエンドとも解釈できるものになっていて、これが先ほど述べた後味の良さに繋がっている。さらに、狂気や憂鬱をテーマとする作品のわりには、作中で常に流れるBGMは非常に甘美なものとなっている。総じて本作は作品のハードな部分とメロウな部分が絶妙に調和しており、一つの作品の中で長所短所が極端に現れやすいスコセッシの他の作品と比較しても、映画としての完成度が高いといえる。パルムドール受賞も納得の出来栄えだ。これは文句なしで10点! 【nakashi】さん [ブルーレイ(字幕)] 10点(2019-02-10 16:07:34) |
《改行表示》83.ご多分に漏れず、私も学生の頃とかには、この映画にハマったもんです。カッコいい、あまりにカッコいい狂気。ああ、こんな映画を考え出すなんて、ホント、世の中には頭のいい人がいるもんだ、なんてね。 で、今見ると、何だか懐かしく、そして何だかちょっと恥ずかしい。過去の自分の青臭さと向き合う恥ずかしさ、ってのも当然あるんですけれど、それだけじゃなくって、映画自体が少々薄っぺらいような、やっぱりコレじゃあダメなんじゃないの、という気持ちも。トラヴィスという特異なキャラに寄りかかり過ぎていて、思い付きの一発ネタで作られた作品、という感じがしてくるんですね。で、「俺は誰にも理解されねえ!」「理解されなくて結構!」という映画を作ることによって、結果的に、世界の若者からの共感を得る、ってのも、何だか、ねえ。ラストの修羅場も、いささか露悪趣味が見え透いていて。 でもでもやっぱり、コレじゃあダメということはなくって、コレでいいんだよなあ、と思い直す(本作観て、大統領暗殺未遂みたいな暴走事件を起こさなければ、ですが)。単なる思い付きだろうと一発ネタだろうと、いいじゃないの。それで、映画がこんなにも光ってるんだから。カッコいいんだから。芸術作品のすべてがすべて、「老成」していなければいけない、などという事は無い訳で。今日もまた世界のどこかで、この映画にハマった若者がいるんだろうし、明日もまた、誰かが新たにこの映画にシビレるんだろう、そういう映画を、使い捨てのごとく悪く言う気には、なれないのです。さあみんな、一度はハマってよ、と言いたいのです。だからやっぱり私はこの映画を支持するのです。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2017-10-15 23:06:06) (良:1票) |
82.BSで久々視聴。当時レーザーディスクで購入し繰り返し観た大好きな映画。トラビスはある意味、圧倒的に正しいが、目に宿る狂気が心底怖い。そこが現代の不条理であることをスコセッシが見事に描いている。トム・スコットのサックスは映像とは切っても切り離せないほど印象的。 【kaaaz】さん [地上波(字幕)] 10点(2017-01-14 02:21:41) |
81.トラヴィスは俺だ!(ベトナム戦争は経験ないけど) 【ガブ:ポッシブル】さん [ブルーレイ(吹替)] 10点(2015-10-30 21:00:05) (良:2票) |
《改行表示》80.《ネタバレ》 特別な映画。 幼い子供と親が観る映画じゃないし、若い男女が観る映画でもない。 いま再上映したら、意外に、気持ち悪いアニメオタクたちが、楽しそうに、おしゃべりしながら並んでいるかも。「トラヴィス、わかるー」とか言って。 ●「これは俺だ。映画の中に俺がいる!」。 そう思った人には評価が高い映画。 そうじゃないなら、わかんない映画。 で、俺にとってわかる映画。 ●初めてのデートでポルノに誘うなんて。 でも俺には、トラヴィスの行動がわかる。 同時に、ベッツィの反応も当然と思う。 そしてラストでベッツィが近寄ってくるが、トラヴィスはもう彼女に興味がない。不協和音、狂気の一瞬。ハッピーエンドじゃない。終わりの始まり。トラヴィスはまたやる。DVDコメンタリで監督がそう言ってるし、俺もそう思う。 ●町山智浩の『映画の見方がわかる本』(洋泉社)。その第7章は何度読んでも熱くなる。トラヴィスが「元海兵でベトナム帰還兵」というのは、銃を扱うための設定でしかない(P189)とあり、その通りだと思う。 ★特別な映画。10点! 【激辛カレーライス】さん [DVD(字幕)] 10点(2015-06-19 07:55:07) (良:1票) |
79.この映画を初めて知ったのは、かれこれ20年くらい前に、ビデオでーた(現DVD&ブルーレイでーた)のビデオカタログという本にて、最高星の評価点が付けられていたという、単純な動機からです。当時からみても古い映画なのに、最高星が付けられるという事は、よほど面白い映画に違いない!と思い、レンタルして観てみたが、当時ハタチの学生だった自分には何が面白いのか、さっぱり理解できませんでした。しかし、どちらかというとライト層向けのビデオでーたで、何故最高星が付くのかという疑問は残したまま・・。その後社会人となり、様々な苦境を経験し、一人暮らしも経験した頃、ふとこの映画の事が頭によぎり、再鑑賞してみました。凄い・・。主人公トラヴィスの心境が痛いほどよく解る。すっげぇカッコいい!!と思いましたね。但し、僕も含めてトラヴィスに共感してしまう方はちょっと危険ですが(苦笑)。世間でもしばしば無差別殺傷事件が起きていますが、その犯人はトラヴィスと似たような心境で犯行に及んでいるのでしょうね。勿論、実際に犯行には及ばず、まっとうな社会生活を営んでいる方が大多数である事は言うまでもありませんが・・。そのような性質から、この映画は、28歳以上(孤独・挫折等といった苦境を多少なりとも経験されたという意味で)で、非リア充でかつ自己愛の強い方であれば、共感できる映画です。逆に、社会生活未経験な方、楽観的な方、公務員やサラリーマン等といった集団社会生活の中で、みんなとも適当に打ち解ける事ができ、不条理な事があってもさほど気にせずに要領よくやっていける方には、あまり共感できないでしょうね・・。 【けんおう】さん [DVD(字幕)] 10点(2014-05-18 20:29:27) (良:1票) |
《改行表示》78.10か1にしかならない映画だと個人的には思っています。 自意識過剰という言葉があります、他人の目が気になりすぎるのが自意識過剰です。 自意識過剰の人は何の根拠もないのに自分は人より優れていると思い込みがちで、世間と自分は違うと社会を拒み、見下し、孤独になりがちです。 トラビスは典型的な自意識過剰です。 そこに共感できるかがこの映画の最大のキモだと思います。 内容はとても退屈だと思います、しかし、トラビスに痛いくらい共感できる人なら、この映画を観ることが何よりの癒しになり、自分とトラビスを照らし合わせるのだと思います。 この映画に共感できる方は、ドストエフスキー著の「地下室の手記」 サルトル著の「嘔吐」も是非読んでみてください 【りょーちん】さん [DVD(字幕)] 10点(2014-04-04 02:43:21) (良:1票) |
《改行表示》77.《ネタバレ》 上映されて30数年、今でも色褪せない名作だと思った。現代にも通ずる人間の心情を抉り出している。26歳のトラヴィス。タクシードライバーをやっているが、自分は社会や人間にもっと認められてもいい人間だと感じている。若い男なら誰でも抱くであろう自己顕示欲と焦燥感と孤独。『オレは、このまま人生を終わるような人間じゃないんだ。今に見ていろゴミどもめ』という感情がひしひしと伝わってくる。孤独は、自分の内面に向かう刃である。だが彼には、それを癒してくれる友達も、女性もいない。決して消極的ではないし根暗でもないのだが、人との付き合いが不器用であるが故に、孤独は癒されない。いつもから周り。そんな彼は、タクシーで街を走らせ、腐敗しきった社会の闇を覗く。女性にもフラレる。NY夜の闇に溶け込むにつれ、次第に彼の孤独は、外面に向かう刃へと変わっていく。銃を手にすることで自己有能感が姿を現し、身体を鍛えることでナルシズム的な陶酔を味わう。自分が認められないのは、社会が悪いせいであり、他人が悪いせいであると思い込む。彼は、不満や焦燥の本当の原因に気づいていない。それは、心の奥底で自分で自分が嫌いという感情から発せられるものである。何とも暗澹たる気持ちになる。 鏡のシーンは歴史に残る素晴らしいシーンだと思う。鏡は、主観的視点を客観的視点にする特徴的なものであるし、自分というものを認識するのには重要なものだと思うからだ。彼が内省もせずに自己正当化とナルシズムに浸ってるのは、滑稽であり、同時に観る者の心を抉る。それでいて、映像的にかっこよすぎるのだから始末が悪い。 彼が起こした事件は、現代でも世間を賑わしている無差別大量殺傷事件などの容疑者の心情と大して変わらないだろう。この映画は犯罪の動機付けに正義(見せ掛けの)を仕込むことによって、彼を英雄化する。英雄になった彼は、最後、一度振られた女性の優位に立つことで自己満足に浸る。スコセッシは最後のシーンで強烈な皮肉で彼を突き放し、タクシーから見た風景は、孤独なニューヨークの闇に溶けていく。全編に渡りダウナーで娯楽映画では全くないのだが、余韻を強烈に残す作品だった。 【Nujabest】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2009-06-24 14:26:14) (良:4票) |
《改行表示》76.魔力をもってますから。この映画は。あんまり観ると洗脳されちゃう、そんなちょっとアブないオーラでてます。この映画が好きだと言うと、心を病んでると思われそうで、あんまり言わないようにしているが、つい何度も観てしまう大好きな映画です。 ふつう、映画は主人公と観客は一体となれるように展開していくと思う。だいたい主人公ってのは心がキレイで正しく、分かりやすい行動をする。でもトラヴィスは、どこまでも不気味さが残る。約二時間、トラヴィスの風景ばかりにつき合い、トラヴィスの独白を延々聞かされるのに、トラヴィスの全てを理解することはできない。でもどこか共感してしまう部分もあるのが不思議なところ。 【きむねぇ】さん [DVD(字幕)] 10点(2008-06-27 00:10:27) |
《改行表示》75.《ネタバレ》 もう30年以上前の映画だけれども、今観ても少しも色褪せてはいない。俳優、映像、音楽、脚本、演出。すべてがこのように才能を開花させている映画はやはり珍しいと思う。とはいうものの、当時観たときは(´78)わたしにとっては何がなんだかわからない映画であった。全然先の読めない映画であったし、理解不能な映画であった。にもかかわらず、ものすごくすきな映画であった。こうして年月がたってみると、やはり自分のベスト1は「タクシードライバー」だなと思う。今観てみると、きちんと計算された脚本であることがよくわかる。マーチン・スコセッシもこの映画を超える映画はやはり撮っていないと思う(「ディパーテッド」なんてあんなの…)。ベッツィを自分のタクシーに乗せていくら?と訊かれ、ガチャッとメーターを倒すラストシーンにはいつも惚れ惚れする。ベッツィもふり返らずに行ってしまう。この映画でロバート・デ・ニーロがすきになって、このあと彼の映画をずっと追いかけたが、いつもどこかに違和感がつきまとった。自分はロバート・デ・ニーロをすきなのではなくて、トラビスがすきなのだと10年以上もたってから気がついた。 【はちかつぎひめ】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2008-05-21 10:31:49) (良:1票) |
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74.どうしようもないときに見る作品です。今でもたまに見ますけど。 【TVC15】さん [DVD(字幕)] 10点(2008-02-25 10:11:17) |
73.《ネタバレ》 30年以上前の映画とは思えない新しさだった 【かさぶた】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2008-02-18 19:37:36) |
72.孤独なやつほど、トラヴィスに自己投影できるだろう、よって僕はこの映画に満点をつける。 【しっぽり】さん [DVD(字幕)] 10点(2007-05-25 15:42:35) |
71.《ネタバレ》 全体の雰囲気が何ともいえず、いい。「スコセッシぽさ」というのか。この空気。いい。主人公はどう見たって頭がおかしくて、暗殺は企てるし、好きな女性に執拗にいいよるし、ぽん引きはぶち殺す。そんな彼のいかれっぷりと孤独に目が離せなかった。タクシー仲間のおっさんとの会話の場面が印象に残った。「そう感じるのはおまえだけじゃないさ」とか何とか言われたときのデ・ニーロの顔が。スコセッシの映画もデ・ニーロの映画もそんなにたくさん観たわけじゃないが、今のところこれが一番好き。 【ジェイムズ・ギャッツ】さん [地上波(吹替)] 10点(2007-02-08 22:32:45) (良:1票) |
70.《ネタバレ》 この映画を見た後、僕は軍服を買った。マグナムも買った。でも、モヒカンにはできなかった。 【ジャッカルの目】さん [映画館(字幕)] 10点(2006-12-30 22:37:15) |
69.寂しき狂気。スコセッシが自分自身で超えられない代表作の一つだろう。それにしてもスピルバーグが編集に参加してたなんて。。。まったく知りませんでした(ノンクレジットみたいだけど) 【Junker】さん [DVD(字幕)] 10点(2006-12-30 20:33:58) |
《改行表示》68.《ネタバレ》 初めて見てから何回見たか分かりませんが、自分の中では「これぞ映画の中の映画」であります。 演技というよりトラビスそのものだったデニーロ、B.ハーマンの音楽とNYの美しさ悲しさの映像が見事にマッチングしてます。 ラストシーンのカッコ良さにはニンマリさせられます。バックミラーの位置を変えるトラビスには、かつての自分からの脱却と解釈してましたが、DVD映像特典でスコセッシが彼の中にある時限爆弾がいつか爆発するだろうという事を示唆していると語ってました。 タクシードライバー2…本気ですか? 【狂童】さん [DVD(字幕)] 10点(2006-12-23 16:42:16) |
《改行表示》67.今はなき名画座ですよ。高校生の僕はそのハーマンのサックスに乗って、一緒にタクシーに乗ってニューヨークの街をただよい、最高の気分。しかし、なんといってもこの映画は全編、最高に面白いんです。ハナシが。で、やはりかっこいいんですねー。”ダイアリーオブタクシードライバー”トラヴィスの台詞を暗記しましたよ。で、なんといっても最高のシーンはラスト。ベッツイーをタクシーから下ろしたすぐ後の、トラヴィスのバックミラーの見返しのあの不思議で超かっこいい、光と音の一瞬ね。最高の芸術です。あのシーンでベッツイーを振った男のかっこよさを中和してるんだなあ。いいよ。 あ、それから、候補者暗殺失敗のあとの、いったん自宅に戻ったときのあの狂気の感じね!40歳独身の今!再度見返す!高校生のときの印象は単にデニーロ、ニューヨーク、ジャズ、孤独、カッコイイ、スゲー!だが、今は、トコトン男の孤独を身につまされ、ラスト!わかってはいるものの、ベッツイーを笑顔でサヨナラするシーンで号泣してしまった。ばかと孤独は、死ななきゃなおらねえよ!ってのは、世界共通ですなあ!!! それから!これが10点でなけりゃ、なにが10点なのか!!!? あっつ!それから、はじめてトラヴィスがアイリスに名前を聞いたとき”イージー!”。”そんなナマエない!”ってのにはわらったな。追加!結構有名な話なんだけれど、配給会社によれば、この作品には当初”邦題”をつけて公開する予定があったそうだ。”ニューヨークタクシー狂死曲!”、、、、、、”USODAYO------んんn!" 【男ザンパノ】さん [映画館(字幕)] 10点(2006-05-07 22:50:20) (良:1票) |
66.こんなに熱い作品はめったにお目にかかれませんよ!孤独で危ういデニーロの視線、それを追うカメラワーク、そしてニューヨークの街をより一層官能的にする音楽がたまりません!乾いた感じといい、危うい感じといい、何かものすごいオーラを持っている作品だと思います。この頃のスコセッシだからできる力業なのでしょうか。とにかくテンポが悪いし主人公の行動は到底理解できない次元のものであるのに、見終わった後凄まじい感慨に襲われます。それも、ニューヨークの街の荒廃と戦争の後遺症の傷跡の深さを描いている映画だからとかそういったものへの感慨ではなく、この映画の作品としての迫力に対する感慨です。とにかく凄いとしか言いようがありません。10点! 【ジャザガダ~ン】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-12-27 00:01:45) |
65.何度観ても,何年経って観ても,この映画への評価は変わらない。名作,傑作,もしくは怪作…突然脈絡なしに“故きを温ねて新しきを知る”が脳裏に浮かぶ。観るたびに新たな発見,新しい解釈が生まれてくるのは,アメリカ社会の退廃の構図があらゆる角度からデッサンされているからだろうか。現実と狂気の極めて細い境界に立つ男の目に,この世界はどう映るのかという問いかけに対して,マーティン・スコセッシは一つの解答を用意した。それがこの「タクシードライバー」である。HotでCoolな演出は,戦争神経症にあえぐトラヴィスという男の中に潜む虚無と破壊衝動,寡黙と自己顕示等,常に相反するものを否応がなしに見せつける。全ての映画ファンは一度は観るべきと,あえて言い切ってしまう。ところで激しい銃撃戦の後,死に損じたトラヴィスには,世界は相変わらず巨大なクソのようにしか見えていないのだろうか。たぶん,そうだろう。 【Roxy】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-12-17 21:32:18) |