2.《ネタバレ》 記念すべきマイレビュー1000本目に選んだ、この映画。たった一晩の話である。しかも、もっと言ってしまえば、パーティとその終わった後の家に帰ってからのことまでしか描いてない、短編である。が、ここに人生が凝縮している。若いコたちのパーティでは味わうことのない、年を取ったものだけが経験できるパーティの余韻を描いた作品だ。自分は、この間の同窓会で(いささか生意気だが)こんな感じのしみじみした気持ちになった。(この映画では、しみじみというより呆然だが・・。)今まで守ろうと頑張ってきたものは、何だったのかと思わせられるような、そんな余韻。それを映画は描いている。しかし、考えてみれば、皆がみんな、人生にすごく大きな事、例えばハリウッド映画のようなことが起きるわけではない。むしろ、多くの人には、この映画のような瞬間が、人生にあるかどうかって感じのものである。人生とはそんなもんではあるが、それがすごく大事な瞬間である。その瞬間のために、生きているようなものではないか?とすら思えてしまう。人はこの瞬間の準備、あるいは何度もその時のことを思い出すために、映画を観るのではないか?人々が映画に求めているものとは、そんなものではないか?実はジョンヒューストンは、この遺作にそういう想いを込めたのではないか?などとニヤリとしてしまった。時間の流れが、どこか小津さんに似てるなとも思いました。