16.《ネタバレ》 心の中で何度主人公に“耐えろ!”“踏ん張れ!”と叫んだことでしょうか。魔が差すとは、まさしくこういう事を言うのでしょう。しかし、だからといって主人公を擁護する気にはなれません。彼自身が盗みを働いてしまったら、窃盗自体を肯定する事になってしまうのですから。辛い思いをした“自分自身”に申し訳が立たない。理不尽さの中にある因果応報と道理が、痛心地よい不思議な感覚でした。子供に見せられない事はしてはいけないのです。60年以上前に製作された所謂『名作映画』に、これほど心を掻き乱されるとは予想だにしませんでした。いや『名作映画』というカテゴリー自体が陳腐と感じてしまう程“良いものは良い”としか言いようがありません。素材と調理法はシンプルながら、随所に監督の技量を感じさせる奥深い一品でした。『素晴らしき哉、人生!』も勿論素晴らしいですが、本作と『ミスト』は反面教師として、全ての大人が親になる前に観て欲しい映画だと思います。粘り強さは最強の武器。迷ったとき、落ち込んだときには、子供の笑顔の中に答えがあるはずです。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2013-07-13 22:20:02) (良:1票) |
15.つげ義春さんが「これ以上の傑作は絶対にない」と書いていました。父が捕らえられたときの息子の表情はいまだに忘れられません。 【藤堂直己】さん 10点(2004-01-31 15:18:57) (良:1票) |
14.《ネタバレ》 こういう名作中の名作に、今さらながら満点献上することの野暮をあえて承知で…。ネオリアリズムうんぬんを言うより、あの当時のイタリアでは日常茶飯事だったろうような庶民のささやかな哀歓を、オールロケで、ここまで見事な「人情ドラマ」に仕立て上げたデ・シーカ監督の人間味溢れる眼差しがまず素晴らしい。父親と一緒に盗まれた自転車を探し回るあの男の子の使い方など、多分にチャップリンの『キッド』を意識しているんだろうけれど、本当に巧いし。特にあのラストで、自転車を盗もうとして人々に捕まり、小突き回される父親に男の子がすがりつくシーンは、今こうして書いていてもナミダが…。父と子にとってつらい1日となったけれど、きっとこの家族なら何とか生きていくだろう、といった願いとも希望ともつかない感情(感傷?)を抱かせる幕切れまで、人の子であり親なら生涯に一度は見ておきたい映画ではありますまいか。 【やましんの巻】さん 10点(2003-10-17 15:46:32) (良:1票) |
13.現実とは、なんと残酷なのでしょう。日本人はもっとこういう映画をみたほうがいいと思います。映画は、観て、楽しんで、カタルシスを得ることが本来の目的ではないはず。現実とはかくも散文的なんですね。 |
12.一番好きな作品。どうしようもなく落ち込んだ時には必ず観てます。仕事をして家族が食べていくということがどうしてこんなに大変なのか!!当時大不況であったイタリアでなければ出来なかった作品でしょうね。自転車を盗んでつかまるところを息子に見られてしまう、明日の仕事も出来ない、それでも「うちへ帰ろう」と歩く後姿にはそれでも生きていくという姿勢が見えます(その前にあんだけもがいてるんだもんね)。息子ブルーノの演技が光ってます。10年前にはじめてみて感動して当時付き合ってた彼女に勧めたら「自転車盗まれて盗み返したら捕まったって話でしょ?つまんなそう」と言われ別れを決意しました。いい映画ほどストーリーは単純なんだというのが私の持論です。 【こう】さん 10点(2002-01-07 23:30:24) (良:1票) |
11.《ネタバレ》 今みても新鮮、緊張感あふれ、世代を切り取った傑作。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2010-03-06 12:34:29) |
10.日本とともに敗戦国イタリアの余りにも厳しい現実生活。やっとのことでありついた大事な仕事のために奥さんが寝るのに必要な毛布まで質入れして手に入れた自転車(当時は高価で貴重品)を初日からアッサリ盗まれて!・・・それからの展開は一生涯この親子には忘れることのできない実に惨めでつらいラストへ。将来はどうなるか?あの幼い息子さんが不憫でなりません。 【白い男】さん [地上波(字幕)] 10点(2008-12-18 16:05:07) |
9.映画を観て泣きそうになったのは今のところこの作品だけです。この映画を観てなーんにも感じない人っていうのはよほど裕福で「貧乏の辛さ」を一度も味わったことがない人なんでしょうね。ある意味うらやましい。駅前に腐るほど自転車が放置されている今の日本にはなかなか響かない作品かもしれない。悲しいことですが・・・。 【長毛】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-11-09 01:12:32) |
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8.デ・シーカによるイタリア映画を代表する名作中の名作。ネオ・レアリズモという言葉が表すように戦後のイタリアが経験した貧困・荒廃を凄まじいまでのリアリティの高さでもって表現して見せた。自転車を盗まれた時の父親のヘコみ具合・失望感たるや尋常ではない。悲痛の叫びが聞こえてきそうなほどの写実性を帯びている。衝撃的なラストはリアリズム貫徹の賜物。 【CPA】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-10-28 02:46:03) |
7.《ネタバレ》 ラストは「驚き」と同時に、ストーリーを丹念に追っていくと「必然」とさえ思えてくる。主人公、子供それぞれの心の動きを的確に表現している。すばらしい。 【STYX21】さん 10点(2003-11-13 20:08:48) |
6.地味な画面で淡々と物語が進みますが、観終わった後にこれだけ印象に残った映画も珍しいです。良い事、悪い事の教育のために多くの人に観てもらいたい。悪い事をすると、それだけ酷い目に合う人がいるんだよとこの映画は教えてくれる。決して、悪い事をしたもん勝ちなどと思わないでくださいね。観終わった後はちょっとブルーな気分になりますが、確実に心に残る良い映画だと思います。それにしても、主演のお父さんが可哀相すぎる・・。どうするの? 【べんちゃんず】さん 10点(2003-10-26 02:55:46) |
5.辛すぎるよ。これがネオリアリズムか。親父のやることどんどん裏目に出て、子供がそれを見てる。あー 切ないなー。当時のイタリアってやっぱ貧富の差激しかったことを考えると親父のしたことに同情してしまうぜ。 【たましろ】さん 10点(2003-09-24 23:02:35) |
4.あまりにも哀しく、胸に迫りくる映画。敗戦後の貧しい社会情勢をリアリズム(ヴェリズモ)の手法で、見事に描ききった名作です。敗戦国、日本にもリアリズム映画の傑作があります。黒澤明「酔いどれ天使」、木下恵介「日本の悲劇」etc 【チャターBOX】さん 10点(2003-05-28 14:41:32) |
3.この頃のイタリア映画はドキュメンタリータッチのネオレアリズモが主流で、敗戦後のつめ痕を描いた数多くの名作を残しました。この作品もそのひとつで「靴みがき」「ひまわり」と並ぶ、デ・シーカの代表作にして名作中の名作です。物語りはといえば、貧困に喘ぐ中、やっと職を手に入れたものの自転車泥棒に遭い職を失ってしまう父アントーニオ。今度はこともあろうに、自分が自転車“泥棒”になってしまう。真面目な一市民が、まさに“魔”が差した瞬間を描いている。捕まえられ、息子ブルーノの目の前で群集にこづき廻される父。駆け寄り、父にしがみついて泣きじゃくるブルーノ。余りにも悲しく、身に詰まされるシーンでした。ところでこの映画、まったく救いようのないラストなのであろうか? このささいな出来事で良い教訓にもなったし、父と子の絆は終生深まるように見てとれる。この苦境を乗り越え、目覚ましい戦後復興という歴史的事実の中、逞しく生き抜くであろう父と子の姿が想像されるわけなんだが。 【光りやまねこ】さん 10点(2003-05-17 11:23:20) |
2.とても悲しいけど優しい映画。イタリアンリアリズムの真髄。 【けい】さん 10点(2003-05-04 23:27:00) |
1.残酷な現実を、目を背けずに真正面から描くことは、意外と簡単だと思うけど、それを多くの人が見て、心に残る作品になることは稀だと思う。その希有な例。かなり真剣に、食い入るように見ちゃいました。 【mic550】さん 10点(2002-10-20 00:11:35) |