宮廷画家ゴヤは見たのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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宮廷画家ゴヤは見た

[キュウテイガカゴヤハミタ]
Goya's Ghosts
2006年スペイン上映時間:114分
平均点:7.60 / 10(Review 20人) (点数分布表示)
公開開始日(2008-10-04)
ドラマ歴史もの
新規登録(2008-10-05)【尻軽娘♪】さん
タイトル情報更新(2013-07-07)【ESPERANZA】さん
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監督ミロス・フォアマン
キャストハビエル・バルデム(男優)ロレンソ神父
ナタリー・ポートマン(女優)イネス・ビルバトゥア / アリシア
ステラン・スカルスガルド(男優)フランシスコ・デ・ゴヤ
ランディ・クエイド(男優)国王カルロス4世
マイケル・ロンズデール(男優)異端審問所長
デヴィッド・コールダー(男優)修道士
ジュリアン・ワダム(男優)ジョゼフ・ボナパルト
ホセ・ルイス・ゴメス(男優)トマス・ビルバトゥア
マベル・リベラ(女優)マリア・イザベル
ブランカ・ポルティージョ(女優)
脚本ミロス・フォアマン
ジャン=クロード・カリエール
撮影ハビエル・アギーレサロベ
美術パトリツィア・フォン・ブランデンスタイン(プロダクション・デザイン)
衣装イヴォンヌ・ブレイク
録音ピーター・グロソップ[録音]
字幕翻訳松浦美奈
あらすじ
革命が進行する英仏をよそに、絶対王政と教会の支配下にあった18世紀末のスペイン。宮廷画家ゴヤは富裕層の人気を得て富を築いたが、彼の壁画の天使のモデルとなった商人の娘イネスは神父ロレンソの邪悪な意図によって異端審問に召喚され、両親やゴヤの努力にもかかわらず帰宅が許されない。十五年後、ナポレオンがフランス革命の理念を掲げてスペインに侵攻した時、ゴヤは聴力を失っていたが真実を描く筆は益々冴えていた。そのゴヤの前にかつて教会の獄中でイネスを犯して逃亡したロレンソがナポレオン傀儡政府の高官となって現れる。
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未見の方は注意願います!
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3.《ネタバレ》   
ゴヤの絵には、どこか冷ややかなものや
嘲笑の気配を感じます

自らの欲望や恐怖や暴力を覆い隠そうと
権威や宗教や群衆、正義という醜悪な欺瞞を掲げる人々を
淡々と冷静に見ているような

欺瞞にまみれた本人だけでなく
その欺瞞に気づかずに
それが正しいことで
時には美しいものだとまで捉えてしまう民衆の弱さも
静かに見つめている

人はどうしようもなく醜く愚かで
この世は虚構に満ち溢れている

それでもゴヤの視線は常に冷静です


聴力を失うことで
より研ぎ澄まされたゴヤの感性が捉えた人間の姿が
晩年の住居とした家に描いた12枚の絵だったのかもしれません

意味を理解するわけでもなく盲信する民衆
正義の名のもとに首を落とす女
甘言に集う人々
神でさえ、己の保身のために自分の子を食らう

描かれた人々は、愚かで浅ましくて醜い
これらの人々に囲まれた空間が
ゴヤが見続けてきた世界だったのでしょうか


本作の、フォアマン監督は、両親をナチスドイツによって殺され
自らは母国であるチェコは改革運動による共産党政治の弾圧を逃れ、アメリカへと亡命しました
ゴヤが見てきた時代と、今、何か変わったのでしょうか?
こっちゃんさん [映画館(字幕)] 10点(2016-05-21 11:01:23)
2.《ネタバレ》 本当に素晴らしかった。 監督らしい反骨精神、ブラックユーモアも健在で衣装や配役も美術も隅々まで凝っていました。
舞台はフランス革命の頃の血生ぐさ~いスペイン。
若く美しく裕福な商人の娘が、ディナーの豚肉を食べなかったという、それだけの理由で異端審問にかけられたという悲劇を軸に、宮廷おかかえ画家、異端審問官、聖職者、商人、王族、娼婦というそれぞれの立場のあの時代を見せてくれます。ゴヤは反骨精神を持つ画家として認識されています。初期の享楽的な貴族の絵から「わが子を食らうサトゥルヌス」の様な暗い絵、虐殺への怒りや死の溢れるリアルな銅版画へと変貌する人生は、フォアマンが描きたくなるのも納得です。原題が「ゴヤの幽霊」であるとおり、
ゴヤはこの作品では傍観者で、決してヒーローとして描かれてはいません。その潔い選択は成功だったと思うものの、見る人を選ぶ映画にはなったかもしれません。
当時の異端審問はその残酷さと理不尽さに歯軋り。「潔白であるならば神は痛みに耐えるお力を授けて下さるはずだ」 という無茶苦茶な理由で 「だから拷問で自白したことは真実だ」 と、何を自白すればいいのか、 自分がどの異端の罪を疑われているのかも知らないまま、告発された人間の運命は自白して処刑されるか、廃人になるまで投獄されるか、自白せずそのまま拷問で殺されるか。
この映画には、その不正に真っ向から立ち向かう者が一人居ます。
イネスの父。 彼の行動こそフォアマンの不屈の反骨精神そのもの!
イネスの家族には涙が溢れました。
異端審問も吹き荒れる王制のスペインに、
やがてフランスから革命の波と軍隊が押し寄せます。
しかし、ナポレオン軍がしたこともまた新たな侵略だった。
権力が転々と変わる中で、
ゴヤはその時代に翻弄される民=イネスを見つめ続ける。
  
エンドロールで流れ続けるゴヤの絵ですが、 宮廷絵や恐ろしい絵や悲惨な絵のあと、最後に映るのが明るい少女の絵と自画像なのがまたお見事です。
kiryuさん [DVD(字幕)] 10点(2009-08-15 23:56:13)
1.《ネタバレ》 電灯の無い時代と言う舞台を意識した薄暗い画面作りや、意外に緊迫した娯楽性のある内容(これがいわゆるフォアマン作品らしいところなのかなと、素人ながらに感じました)はもとより、何よりも作品における真の主人公と言えるロレンソのその姿が特に印象に残りました。

僕が見た限りでは、ロレンソは最後にあえて死刑を選ぶまで、自分自身の信念らしい信念を持ち合わせていなかったのではないかと思います。スペインで神父をしていた時代のロレンソのその嫌らしい偽善者振りや、フランス逃亡後の居丈高な調子(実はいずれも自分にとって大変生々しく身近に感じてしまいました)・・・どちらも背後に透けて見えるのはロレンソ自身の、臆病さと裏腹になった傲慢さです。そして痛みや危難に際して、ロレンソは簡単に信仰を捨ててしまうのです。

最後の最後で教会の高僧から、「死を選ぶか再度信仰に戻るか」という二者選択を迫られますが、その際ロレンソはあえて屈辱的な状況で命を長らえる事を拒み、自ら進んで死に赴く事を選びます。その理由は劇中言葉では説明されませんが、僕自身は、もはやその時ロレンソの中にはフランス革命の理想も、またその革命に殉じるという悲壮な決意も存在しなかったのではないかと思います。ただそこにあるのは、自分自身の「意地」のようなもの、もう自分自身の中で何もブレたりはしないという、「自分の良心」への忠実といったものだったのではないかと思います。

椅子に縛られたままガタガタ震えるほどに死を怖れつつ、それでもなお死を選んでまで意地を通したロレンソは、最後の最後に「信念の人」になれたのだと思いました。また神父時代に自らが凌辱したイネスの、ロレンソに向けられた真っ直ぐな笑顔は、孤立無援で死に赴くロレンソに手向けられたせめてもの祝福だったのだと僕は思います。それに対して引きつりながらも笑顔を返したロレンソを見ると、彼自身も少しは報われたのではないかと思い、何だか僕まで少し救われたように感じてしまいました。
マーチェンカさん [映画館(字幕)] 10点(2008-10-23 22:34:26)
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【点数情報】

Review人数 20人
平均点数 7.60点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
5210.00%
6210.00%
7525.00%
8735.00%
915.00%
10315.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 9.00点 Review1人
2 ストーリー評価 9.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 7.00点 Review1人
4 音楽評価 8.00点 Review1人
5 感泣評価 6.00点 Review1人
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