11.《ネタバレ》 これぞ西部劇。
165分の長尺なのに、漂う緊張感とサスペンス性で、珍しく長さが気にならなかった。
長いとダレてイライラするのが常なのだが、この作品にはたっぷりした間の演出が合っているということだろう。
三人組が出迎えるブロンソンの登場シーンからもう心を持っていかれる。
「俺の馬は?」「おかしいな。一頭足りないようだ」「いや、二頭余る」
笑っていた三人組が、ブロンソンの返しに顔色を変える。
セリフがいちいちキザだけど、含みがあって唸らされるカッコよさ。
子供も平気で撃ち殺す悪玉ヘンリー・フォンダの存在感が、対決を一層盛り上げてくれる。
フランツが死に際にハーモニカの正体にやっと気づく、ドラマティックで印象的な決着。
一対一のガンファイトは、西部劇の醍醐味だ。
悪玉だか善玉だかわからないシャイアンが、ハーモニカとフランクの戦いに絡んで良い味を出している。
その登場シーンも秀逸で、何者かまったくわからない状態で、酒を飲み干すときに両手の手錠が露になる演出が憎い。
それが直前の外での銃声と合わせて、警備を撃ち殺して逃げてきた囚人とわかる。
そんな男と主人公に芽生える友情が、いかにも漢っぽくて良い。
ジルも従来の西部劇での清純なヒロイン像とは違って、美しくて強かな娼婦上がりの女というのも面白い。
レオーネ監督の演出、セリフが冴え渡って、彼の西部劇の中では一番良かった。