26.《ネタバレ》 長編映画にもかかわらず、2時間半があっという間。これも劇中の理論同様、時間の伸縮現象のひとつです。私もまた現実と夢の狭間を行き来したと考えます。優れた映画は機材など無くとも、ヴァーチャル・リアリティが体験できるのですね。非現実世界の構築は見事ですし、多重層で繰り広げられる時間差アクションは圧巻。見どころを挙げ出したらキリがありませんが、私が最も言及したいのはエンディングです。全ての出来事が一点に集約される象徴的な場面。『早く倒れろ!』何度も心の中で叫び、エンドクレジット開始と共に唸りました。「正しい終わり方」だから深い余韻に浸れたのだと思います。アイデア、脚本、美術、アクション、配役、そして人生の意味を問いかけるメッセージ性、どれも完璧で、注文をつける箇所が見当たりません。鑑賞後は頭の中で情報を整理しながら、自身の感情を反芻し、幾度となく楽しめるお得な映画でもあります。悔やまれるのは、この傑作を茶の間のTVで観てしまったこと。迂闊でした。映画館で鑑賞していたら感動2割増しだったでしょう。教訓。ノーラン作品は万難排して劇場へ足を運ぶべし。さて、最新作『テネット』で私はこの教訓を活かせるでしょうか? 【目隠シスト】さん [インターネット(吹替)] 10点(2020-09-10 18:54:31) (良:2票) |
25.《ネタバレ》 パンパンの期待で観に行ったのですが、その期待を完全に超えていました。知的で、そして燃える映画。私は完璧に満足しました。難解な映画と言われていますが、物語の骨子は大して難しくありません。ただし映画の雰囲気作りのため、小難しいセリフ回しや情報を提示するタイミングの操作によって観客をわざと混乱させる仕組みになっています。なかなかイヤらしい作りではあるのですが、これはキューブリックやリンチも用いている立派なストーリーテリングの技術だし、積極的に物語を読み解くことを要求された観客は、映画を理解する喜びを得ることができます。これは単純明快な娯楽作では得られない感覚であり、アート作品ならともかくSFアクションでこの感覚を得られたことは貴重な体験でした。また、監督は遊び心も失っていません。哲学的な作品ではありますが、007の大ファンだという監督は本作を燃えるアクション大作として撮っています。産業スパイが困難なミッションに挑む、そしてミッションはどんどん悪い方へと進んでいく、このミッションは成功するのか?高級なスーツを着込んだディカプリオが様になった構えで銃を撃つ姿はまんまジェームズ・ボンドであり(子供の名前もご丁寧に「ジェームズ」)、アフリカからNY(と思われる都市)、そして雪山へという舞台のバリエーションも007を思わせます。この監督のアクション演出は冴えに冴えていて、銃撃戦やカーチェイスは本家007を超えるほどの迫力とかっこよさ。そんな見ごたえ十分のアクションにSF的設定が突如割り込み、空間がビニョーンと歪む中での見たこともない格闘には大興奮なのでした。夢と現実では時間の流れが異なるという設定を活かしてタイムリミットサスペンスにしたこともアクションのスパイスになっており、制限時間が迫る中での戦いには本当にハラハラさせられました。そして素晴らしいのがラスト。詳しくは書きませんが、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかの判断を観客に委ねた素晴らしいラストには鳥肌が立ちました。本作にはその他にも解釈の分かれる点があり、そもそも現実として描かれているパートが現実である保証もないわけで、ビルから飛び降りた奥さんの判断が正しい可能性だってある。観客に多様な判断を楽しせる余裕まで与えた本作は、後々にまで語り継がれる映画になるはずです。 【ザ・チャンバラ】さん [映画館(字幕)] 10点(2010-07-23 17:21:34) (良:2票) |
24.《ネタバレ》 これは大好き。何がいいって、驚愕にして緻密なアイディアと、それを美しく視覚化した映像の素晴らしさ。音楽も良いし、キャスティングが100%はまった、その心地よさ。こうまでハマった!と感激なのは”L.Aコンフィデンシャル”以来。主演クラスからM・ケインやP・ポスルスウェイトに至るまで良い。 「夢」を扱ったものはファンタジーテイストで独り浸りな感性のものが多いように感じて、あまり合わないなあと思っていた。けれど本作はそれこそ夢中になった。理屈についていくのが精一杯で、148分阿呆ヅラで観賞したけれど、もうわくわくでいっぱい。無重力映像の摩訶不思議なこと、予期せぬピンチがいい具合に訪れて話を締める脚本の良さ、役者の好演。 「三階層」「潜在意識の武装化」「キックまでの時間」と初めて触れる概念に圧倒されつつ、仕事に集中するJ・G・レヴィットの手際の良さに見惚れ、T・ハーディの軽い伊達男っぷりにくらくらし、いつになくしくじるディカプリオには突っ込みを入れ、「謙さんがんばって!」と手に汗握って、と大変忙しくそして楽しい。 悩める大富豪の御曹司役のC・マーフィも良かったな。”他者から植え付けられた”偽自意識ではあるけれど、彼の場合これで良かったのだと感じる。一生父親への確執を抱えてうじうじすることにならず、自分の足でちゃんと前に進めそうだもの。依頼者の希望は叶うし、ターゲットも結果良い方向へ向かいそうだし、コブも家に帰れたしで、商売で言うところの「三方ヨシ」みたいでストーリーもすごく好き。私はあのコマは当然倒れると信じて疑ってません。 【tottoko】さん [DVD(字幕)] 10点(2016-12-16 17:04:49) (良:1票) |
23.こんな映画思いつくのが凄い 何度見ても興奮する 【pillows】さん [DVD(字幕)] 10点(2014-04-05 03:45:08) (良:1票) |
22.《ネタバレ》 クリストファー・ノーランすごいです。メメントでもすごいなあって思ったけど改めて思ったよ。誰もが何となく頭に思い浮かぶアイディアなんだけど,ここまで上手くまとめられないから誰もできないし,誰もしていないのだと思う。ノーランがこの映画でまとめて見せてくれるので「ああ,こんなの夢オチじゃん」「だいだいこんな感じのストーリーだよな」なんて思うけど,文章でまとめて,話の辻褄を一応合わせて,映像化できるっていう,この才能がすごい。2番煎じのような,どこかで聞いたこと見たことあるような設定だけど,よくよく考えてみると誰もしていない。少なくとも,私にはこの映画を作るの(脚本を書いて,映像化)は無理だわ。きっと途中で勝手に盛り上がって,自分にしか分からない映画になりそうだもの。そして,無理やり「最初っから全部夢でした」てオチをつけてしまいそう。自分に才能がないのは分かっているがノーランの光る才能がほんとうに素晴らしいです。もしかすると,「メメント」でも似たようなコメントを付けてるかもしれない・・・ 【蝉丸】さん [DVD(字幕)] 10点(2010-12-27 02:42:36) (良:1票) |
21.ここまで凝られた設定、ストーリーなのに、説明が少ない。これぞノーラン映画。 人は物事に対して発見や解析をし喜びを感じる生き物。ノーランはこの人間の習性を良く分かってるんだろう。1から100まで説明して見せるのではなく、1から60まで見せて残りの40を見てる側に見つけさせたり、解釈させたり、または想像させて楽しませてくれる。ボーっと表面的な面白さを見てるだけじゃダメだ。集中し考えながら内面的な面白さを見ないと映画の本質は分からない。エンドロール、興奮覚めあらぬ状態の我々に彼は言う、「さぁ起きろ。現実がはじまるぞ」。そこに響き渡る「目覚めの合図」 【関白宣言】さん [映画館(字幕)] 10点(2010-09-23 02:14:53) (良:1票) |
20.《ネタバレ》 面白かった。「メメント」テイスト全開で作られていて、ミステリ系映画が好きな身としてはたまらない。間の無重力戦闘とかもなかなかきれいで見ていて面白かったし。 ■単純なエンタメ(アクション・サスペンス)として見た場合、「夢の中の夢」「夢の階層構造において時間の経ち方を大幅にずらす」「夢の中だからご都合主義や派手すぎるアクションも大目に見れる」といった要素が大きく、アイデア勝ちだと思う。 ■話の構造としては同監督「メメント」に近い。「メメント」と「インセプション」の違いは、まず前者が純粋にミステリーとして構成されていたのに対し、後者はアクション・サスペンスとして一般受けしやすい構成になっている点。あと、前者が大枠の謎解きをラストにしてくれたのに、後者は謎解きしなかった点かな。特に後者は本作を解読する上で大きい。それと、メメントはストーリー追うだけでも頭が死んだのに対し、本作は一応おおよそ話は全部追えるように作られているのは観客にとっては良心的。 ■【以下激しくネタバレ】ラストのあまりにご都合主義的にすぎる展開と「監督はこの作品の脚本に10年かけた」という記事を読んで、ラストはフェイクで「すべてを描かなかった」という理解に変えた。 ラストの解釈で、希望的なハッピーエンドととる人が多いようだが、必ずしもそうではないと思う。とりあえず冒頭で、トーテムについてサイトーは「見ている」し「見たことがある、と発言している」し、「倒れたら現実、と自身が解説しているシーンがある」のだからトーテムについては相当怪しいというか、これ自体偽の記憶の可能性が十分ある。 あと、ラスト近くの電話してから1時間そこいらで罪が全部もみ消せる(し、それがパスポート・コントロールまで情報が行きつく)のかよという問題や、なぜ父親が迎えに来ているのかという問題もある。 他にも、モルの自殺がコブのいるビルではなくその向かいのビルから飛んでいる点、コブとサイトーがどうやって戻ってきたのかという点など、不審な点は多い。 そう考えると、ラストは希望的な「現実」という答えより、「夢」の方が正しそうな気がする。 【θ】さん [映画館(字幕)] 10点(2010-09-15 01:27:10) (良:1票) |
19.《ネタバレ》 何度でも見る映画。この映画の世界観が、大好き。階層をまたいで同時進行のアクションなんかも、目を引いて暇はしないし。夢か?現実か?を考えながら見るのが楽しい。ラストに答えを決めないところも、想像力を膨らませる。でもいやいや、最後幸せそうなんだから、そんなことどうでもいいんじゃない?とも。ガラス玉をダイヤモンドだと信じ切れば、それはダイヤモンド。ダイヤモンドをガラス玉と疑ってしまえば、それは価値のないものに。ある意味で些末なことを気にしすぎ、確たるもの、信たる自分を見失ってやしないか?そんなことを考えさせようとしているのでは。はっきりは伝えないけど。そんな、まわりくどーい 優しい 強い 心地よい 世界観が好き。大好き。 【透き通るBlue】さん [DVD(字幕)] 10点(2017-12-13 23:54:24) |
18.新しい作品ですが一気にトップテン入りしてしまった映画です。冷静に筋を追えばかなり穴が多いストーリーですが、それら数々の矛盾点を無視したくなるほどスタイリッシュでクールな映画でした。個人的な印象としてはマトリックス以来の衝撃といっても過言ではありません。 脚本に矛盾点はあるものの映像表現や理論部分はよく練られていて、想像力を掻き立てるストーリー展開は見事としかいいようがありません。読書が好きな人(=妄想するタイプの人)には高得点だと思いますが、いわゆる直感的なタイプの人にはいちいち説明的でテンポの悪い展開は耐え難いかもしれません。しかしながらノーラン監督のオリジナル脚本×ダイナミックなハンス・ジマーの音楽×情緒たっぷりの美しい映像を見せられると、ついつい引き込まれてしまいます。この映画にはマイナス点を余裕ではねのけるほどの大きな魅力が存分に備わっています。 夢の階層が深くなるにつれ時間が20倍の速度で過ぎてゆき、夢の三階層くらいまで降りると数日で50年くらい暮らしていたことになるなんて心底素晴らしい発想です。惜しいのはホテルの階層まではコダワリまくっていたクールな演出が雪の階層で一気に普通のアクション映画になってしまった点です。ノーラン監督が007大好き過ぎるのか、ネタ切れで息切れしてしまったのか、良いところで失速してしまった印象があります。雪の階層がほぼクライマックスだっただけに本当に惜しかったです。 この映画の最も印象的なシーンの一つとして、年寄や病気の人が大量に夢の世界に繋がっている地下のシーンは素晴らしかったです。本来ならメインストーリーには不要なシーケンスですが、監督はどうしてもこのシーンを入れたかったのでしょう。身体の不自由な彼らは毎日寝に来ているだけですが、その本人たちは夢の中こそが不自由のない理想の世界であるという。これは現在のネット時代、オンラインゲームへの比喩とも考えられる非常に素晴らしいメッセージだったと思います。 不思議なことに何度も見たくなる映画で、私は二回連続で鑑賞しました。この映画は高評価と低評価が混在していますが、あまり深く考えすぎないことがポイントです。辻褄が合わない部分は華麗にスルー、何となく判ったような気になってファンを気取るのがノーラン作品の正しい鑑賞法です。とにかく、、近年まれにみるインナーSFの傑作でしょう! 【アラジン2014】さん [ブルーレイ(字幕)] 10点(2014-04-08 14:09:02) |
17.《ネタバレ》 すごい深い!映画はこのくらい深くないとね!最高の作品を楽しみました。文句なし。 ↑2013年にこんな浅いコメントを入れて、最近改めて見たらまたまた最高! 自分が奥さんにインセプションしてしまったため、自殺へ追いやり、子供たちから引き離される。 会社を息子に潰させるインセプションをしつつ、もうひとつのやり残しを解決していく。 私はあの最後の駒は倒れると思いたい派だ。 コブとモルが最後に何十年も共にして年老いていった素敵な人生だったと回想するシーンでグッときた。 アーサーとイームスがかっこよすぎてかぶる。 アリアドネがかわいい。 渡辺謙さんの「観光客も手伝わなきゃダメか…」のセリフがよかった。 何気に目覚めの合図、エディット・ピアフ「Non, je ne regrette rien」が好きだ。 【新しい生物】さん [DVD(吹替)] 10点(2013-09-07 03:50:51) |
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16.この監督は間違いなく天才でしょう。こんな毎回毎回出来の良い脚本をよく作れると思いますよホント。後渡辺謙が重要な役所を演じているのが個人的に嬉しい。 【キリン】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-12-27 02:21:58) |
15.《ネタバレ》 これは面白い!!自分が認識する世界はどこまで信頼できるのだろうという、「われ思うゆえにわれあり」のような極めて哲学的なテーマを扱いながら、超一級の娯楽作品としても成功している凄い映画だった。人の夢の中へと入り込み、その人が将来、考えつくであろうアイデアを盗むことを生業としているディカプリオ演じる主人公コブ。恐らく映画でしか表現しえないだろう、そんな設定を最大限活かして、クリストファー・ノーラン監督は今まで誰も観たことがなかった世界を見事に映像化してみせた。第一層から第三層まであり、それぞれが全く違う世界で下に行けば行くほど時間の進み方も全く違ってくるという複雑な人間の深層心理の中を、コブたちはどんどんと奥深くへと沈み込んでいく。それを徹底的にスタイリッシュに、しかもアクション映画としても一級の迫力をも備えた映像で描き出す手腕は見事としか言いようがない。そこへ絡んでくる、コブ自身の亡き妻を巡る哀しい思い出もまた切なくて良い。そして最後、コマが止まるのかどうか、その寸前で終わるという、最高に格好良いラスト!!「このまま、コマが止まるかどうか?それを信じるのは君たちしだいなんだよ」観終えたあと、あまりの格好良さにしばらく痺れてしまったよ!! 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-07-07 22:16:32) |
14.《ネタバレ》 夢の世界の表現がおもしろい。夢の世界のさらに夢の世界へと深く潜ることができ、潜れば潜るほど、上層世界との時間差が大きくなる。この設定に基づく、クライマックスのアクションが何とも言えない緊迫感となって、映画の世界にどっぷり浸れた。車が水没するまでの一瞬の間に、様々な出来事が起こり、こりゃ癖になる。摩訶不思議な映像表現も癖になる。 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-03-12 18:08:26) |
13.《ネタバレ》 ちょっとばかり遅れを取ってしまいましたようで、皆さんの膨大なレビューは全部読めてません。ゴメンなさい。 これは傑作だと思いますよ、素直に。夢や死生観や時間を扱った作品は、最早数え切れないぐらいにあると思います。映画だけでもそんな状況なんだから、小説やら絵画やら、ありとあらゆるジャンルの作品を並べてしまえば途方もない数になりますよね。勿論、だからと言って何でもありというわけじゃありませんが、この作品、断片的にはどこかで観たようなカットやら台詞やらが気にならないわけでもないのだけれど、トータル的には素晴らしい纏まりを見せていると思います。よくぞ破綻することなく纏め上げた。間違いなく賞賛に値します。 ストーリーとしては単純。ライバル会社を潰すために若社長を洗脳する、ってだけですからね。でも、その単純さこそが、この作品の複雑な展開を理解可能にするのに寧ろ必要な訳で、このテーマで複雑なストーリー展開を盛り込んだら、観客は置いてかれてしまって訳が解らず、それこそ「設計者」の「迷路」に入り込んでしまうというものです。だから、このくらい解りやすくてシンプルな物語でOK。それでこそ複雑な作品世界が生きるというものです。 重層化した夢の世界。そこの住人たちは、夢を見ている本人の深層心理を具現化したもの。夢だから何でもありのようでいて、夢の作者の観念世界はある意味良識の世界。だから意図しない限り、とんでもない状況になることもなく(サイコな人の夢だったら大変でしょうけれど…)、極めて現実的に事は運ぶわけですね。そして、その幾重にも折り重なった世界を自由自在に策を巡らしつつ闊歩する主人公たちのカッコ良さ。ひさびさに満足しました。 ちなみに、香港のパン兄弟の作品に「リサイクル」というホラーがあるのですが、そこに描かれている世界観、と言うか「向こうの世界」の表現の仕方と、ある意味共通しているテイストを感じました。テーマは相当違いますけどね。 【タコ太(ぺいぺい)】さん [DVD(字幕)] 10点(2011-05-05 12:20:43) |
12.今年度の映画界でも最大の話題となった映画。「夢」という人間ならば誰しもが体験する事柄をモチーフにしており、他人の「夢」に入り、アイディアを植付ける産業スパイとその仲間の活劇を描いてます。「夢」の中で「夢」を見て、それが階層になっていて、最初の「夢」の行動が次の「夢」に影響してくるアイディアなんて最高に面白い。「夢」でトイレにおしっこをし、「現実」でお漏らししてたという人にオススメ。「夢」という普遍的なテーマを最大限に遊んだ映画で、多くの人に指示されヒットした理由もそこにあるかと思います。 【カイル・枕クラン】さん [映画館(字幕)] 10点(2011-03-13 23:21:51) |
11.これはダークナイトを見たときも思ったことだが、クリストファー・ノーラン監督の映画はただの娯楽映画に止まらず、その中にメッセージ性を含んでいたり問題提起をしたりと一般の娯楽映画とは一線を画すものとなっている。そして今回のテーマは現実と夢、そしてその夢を作り出す過去の記憶がメインテーマとなっており(記憶がテーマとなっている点で監督の出世作であるメメントと通じる部分があるように思える)、夢の中でのアクションをメインとしつつも登場人物の心理描写も同時に手掛ける力量は流石と言わざるを得ない。しかもあの大作ダークナイトの成功というプレッシャーを撥ね退けこれほどの意欲作を作り上げてしまうのだから、彼の次回作にも否応無く期待してしまう。 【陽踊り小僧】さん [DVD(字幕)] 10点(2011-02-22 09:26:18) |
10.《ネタバレ》 劇場公開時、映画館にて2度鑑賞。現実から開放されるための夢、しかし浸りかけた夢の中において、夢とは現実の副次的なものでしかないことを悟るコブ。それを忘却しようとするモル。現実に引き戻すために自殺をインセプションしことで、結果的に二度と現実に戻らなくなったモル。夢でしか会えなくなったモルに引きずられるコブ。夢と現実が相互に連関しあうSFを見て、しかし観客は現実に夢を見てなんとなく意識が変化した体験を思い出す。現実からの一時の開放である映画の中に観客を強力に引き込むノーランが、逆説的に現実の困難さを突きつける一作 【楊秀清】さん [ブルーレイ(字幕)] 10点(2011-02-22 00:36:41) |
9.こんな映画をずっと見たかった。この監督、このままいけばキューブリックみたいになるかもね。次作でも凡人のオレに素晴らしい夢を見せてほしい。 【Junker】さん [映画館(字幕)] 10点(2011-02-02 17:48:41) |
8.《ネタバレ》 2010年公開の映画の中で私的No.1だった作品。 この映画のコンセプトのひとつが、いわゆる夢の世界の映像化である。そこで描かれる夢は、一見して現実と区別がつかないが、何かのきっかけで破綻し、崩れていく世界。そういう夢を人工的に作り出すというアイディアは特に新しいものではない(『クラインの壺』とかがある)けど、そこで作り出される夢が、夢の中の夢という括りにより何層にも積み重ねられるという構成(これまでは並列的世界が多かったと思うけど、これは階層的)と、それを「設計」するという発想は面白いと思った。 人間の意識について、ホーキング博士はこう言っている。「人間くらいの大きさのエイリアンであれば、1兆の1000兆倍もの粒子を含んでいるので、たとえエイリアンがロボットであったとしても、方程式を解いて、その行動を予言することは不可能でしょう」 これはロボットにも自由意志が持てる可能性があることの言説だが、その前提として、意識は人工的に創出可能で、その拡散度合にはほぼ無限の(人間が推算できる以上の)可能性があることを示している。夢や仮想現実の世界も、宇宙と同じように量子論的探究が可能な世界であり、そこに様々な想像を加えることで実際的なサイエンスフィクションの対象となりえるのである。(夢だからといって何でもアリというわけにはいかないでしょう) 仮想現実を扱った映画といえば『マトリックス』がある。これはシミュラークル的な奇想から発展した荒唐無稽なSF的映画だと僕は思うが、本来、理論的位置づけがそこはかとなくあって、主題が現代思想的にも有意で、なおかつ人間的に必然な要素(恋愛とか利己とか家族愛とか)が絡んでいて、とにかく面白い、というのがSF作品に僕らが求めるところではないだろうか。 そういう意味で、『インセプション』は、SF映画として、想像力を刺激される印象的な作品だと僕は思っている。 【onomichi】さん [映画館(字幕)] 10点(2011-01-17 22:10:16) |
7.難しいような難しくないような、わかったようなわからないような しかしながら画面に釘付けになってしまった。 【くまさん】さん [インターネット(字幕)] 10点(2011-01-02 03:34:13) |