クライマーズ・ハイ (2005)<TVM>のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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クライマーズ・ハイ (2005)<TVM>

[クライマーズハイ]
2005年上映時間:150分
平均点:7.67 / 10(Review 3人) (点数分布表示)
ドラマサスペンスTV映画小説の映画化
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キャスト佐藤浩市(男優)悠木和雅(日航全権デスク)
大森南朋(男優)佐山達哉(社会部記者)
新井浩文(男優)神沢夏彦(社会部記者)
高橋一生(男優)安西燐太郎(耿一郎の息子)
岸部一徳(男優)等々力竜司(社会部長)
塩見三省(男優)迫村忠士(編集局次長)
大和田伸也(男優)粕谷亘輝(編集局長)
光石研(男優)田沢直人(社会部デスク)
松重豊(男優)岸文平(政治部デスク)
岡本信人(男優)稲岡信也(文芸部)
石井愃一(男優)亀嶋格(整理部長)
谷本一(男優)守屋政志(政治部長)
山中聡(男優)吉井健一(整理部)
菅原大吉(男優)久慈進
久遠さやか(女優)依田千鶴子(編集部庶務)
植松真美(女優)高木真奈美
寺島進(男優)登山指導員
美保純(女優)悠木弓子(和雅の妻)
石原さとみ(女優)望月彩子(望月亮太の従妹)
中村優子(女優)遺族の女性
赤井英和(男優)安西耿一郎(販売部)
岸本加世子(女優)安西小百合(耿一郎の妻)
伊武雅刀(男優)末次勲(安西の登山仲間)
綿引勝彦(男優)伊東康夫(販売局長)
杉浦直樹(男優)白河社長
原作横山秀夫「クライマーズ・ハイ」(文藝春秋社)
脚本大森寿美男
音楽大友良英
制作NHK
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1.《ネタバレ》 この「クライマーズ・ハイ」は案外奥が深い作品である。最大の山場は、事故原因についてのスクープを掲載するかしないかという局面である。だが、この場面を見たとき、私は微妙な違和感を覚えた。あの場面で悠木はある遺族の母子が新聞を買いにきたときのことを思い出している。「どうか真実を伝えてくださいね」と悠木の手を握って懇願して帰った母子だ。ところが、「どうか真実を」と願った母子のことをわざわざ悠木に思い出させながら、結局はスクープ不掲載という結論に達しているのだ。スクープを掲載することこそが母子の願いに沿うことになるはずなのに、そうはしないという矛盾したシナリオなのである。ドラマに酔いながらも妙な印象を覚えた。

ところで、現実の日航ジャンボ機墜落の原因について、みなさんはどう理解しているだろうか。おそらくほとんどの人は「圧力隔壁の修理ミス説」を認識しているかと思う。だが、安易な陰謀説に加担する気はさらさらないが、いろいろ調べてみるとおかしな点があるのも事実である。日航機事故のあとタイ航空機がまさに圧力隔壁の破損事故を起こしている。細かい話になるが、そのときは機内の与圧が破れ、気圧が急激に低下したため、乗員乗客89名が瞬間的に航空性中耳炎になっている。だが、日航機では奇跡的に生き残った落合由美氏や川上慶子氏らの証言からもそうした話はまったく出てきていない。

また、急激な気圧低下に対応するため、タイ機ではパイロットによって緊急降下が行われているが、日航機の場合、それがなされていない(操縦不能になった事故機であったが、緊急降下することはできた)。あるいは、日航の乗員組合や整備士たちも「圧力隔壁説」は絶対に違うと主張している。圧力隔壁説の証拠として、煙草のヤニが垂れるほど付着したリベットが見つかったとされたが(当時の飛行機は禁煙ではなかったため、隔壁に破壊の元ととなる亀裂が生じ、そこから煙草の煙を含んだ空気が流出した結果、ヤニの付着したリベットが生じたとされた)、そんなリベットがあったら、整備作業で必ず発見しているはずだという。

さらに、この事故では結局、すべての関係者が不起訴となっているが、不起訴を決定した担当検事(山口悠介検事正)も微妙なことを述べている。「(墜落原因が)圧力隔壁の修理ミスかどうか疑わしい」というのだ。そのために案件としては不起訴とせざるを得なかったのであって、検事自身、事故調査委員会が出した圧力隔壁説という結論には疑念を抱いていたのである。

では、ほかにどんな原因がありえるのか、ということになるが、それこそがこの作品の核心であり、隠されたメッセージだと私は解釈している。当初私は、悠木はジャーナリズム論として不掲載を決断したと思っていた。しかし、「圧力隔壁説」の真実性に疑問があるという観点に立ってみると、「圧力隔壁説」を掲載しなかったことこそが「真実を伝える」ことになるという逆説的な図式が見えてくる。悠木にスクープ不掲載という不作為をさせることで、ドラマは「圧力隔壁説」とは異なる「墜落原因X」の存在を暗黙のうちに示唆しているのではないか。よくよく考えれば、「圧力隔壁説」を掲載しなかった理由について悠木は何も語っていない。

墜落の真の原因が何かは私なんぞにはわからない。しかし、あの事故では何かが隠蔽されているということだけはまず間違いないという心証を抱いた。あのとき123便と交信した管制官がその後何の事情聴取も受けていないという事実を知り、心証は確信になった。「クライマーズ・ハイ」は人間ドラマやジャーナリズム論を表面にかぶりながらも、寡黙なうちに欺瞞を告発し、真実は何も明かされていないと強烈に訴えているのではないだろうか。恐るべき作品だと思う。そういう隠された狙いを秘めたうえで本作は制作されているのではないか。
delft-Qさん [DVD(邦画)] 10点(2013-08-08 12:59:59)(良:1票)
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【点数情報】

Review人数 3人
平均点数 7.67点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
5133.33%
600.00%
700.00%
8133.33%
900.00%
10133.33%

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